彼女と結婚が決まりました。お小遣いが少なそうなので、独身時代の貯金は自分用にとっておきたいのですが…… 彼女に話さなくてはいけませんか?

結婚前の貯金は夫婦共有の財産ではない

独身時代に貯めたお金は夫婦の「共有財産」ではないため、あえて結婚相手となる彼女に詳細を伝える義務はありません。婚姻期間前の貯金は「特有財産」に該当し、夫婦の共有財産にならないからです。

共有財産とは、夫婦が共に築いた財産を意味します。婚姻期間中に夫婦の協力によって形成・維持された財産のことで、離婚時の財産分与の対象になるものです。

特有財産は、独身時代に自分が築いた財産につき、全額自分のものとして問題ありません。自分のお金として、彼女に秘密の口座を作成して管理したり、必要なタイミングで使ったりするとよいでしょう。

離婚時に財産分与の対象となるもの

離婚する際には、財産分与によって婚姻期間中に夫婦で協力して形成・維持した財産を分配する必要があります。財産分与の対象になるものは、現金だけでなく以下のように財産的価値の高いものが対象です。

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・夫または妻の名義で貯めた預金
・土地・建物など不動産
・投資信託や有価証券
・家具・家電
・自動車
・宝石
・美術品
・骨董(こっとう)品
・夫または妻が受け取る年金や退職金
・夫または妻が保険料を払い込んだ生命保険や損害保険
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婚姻期間中に形成・維持された財産ならば、夫または妻のどちらかの名義や収入で取得した場合でも共有財産とみなされます。財産分与の割合は、原則として2分の1を基本としていますが、夫または妻のいずれかの寄与度が高い場合は、2分の1ではなく双方の合意によって決定する場合があります。

また、財産分与には、住宅ローンや教育ローンなどで借り入れた負債なども含まれているため、マイナスをどのくらい受け入れるかどうかの話し合いが必要になるでしょう。

男性会社員のお小遣いの平均額は約4万円

(株)SBI新生銀行(東京都中央区)が行った、「2023年会社員のお小遣い調査」(調査対象:20~50代の男女約2700名)によると、男性会社員のお小遣いの平均額は毎月4万557円とのことです。前年の同調査と比べて1915円増加し、2010年以降初の4万円台になったことを伝えています。

なお、女性会社員のお小遣いの平均額は毎月3万5001円となっており、こちらは前年度から1723円増加し、2014年以降の最高額とのことです。その他に、男性会社員の1日の昼食代が624円、1ヶ月の外での飲み代は1万3850円とお小遣いの平均額に対して高い金額が必要であることも分かっています。

結婚前の貯金額を彼女に話さなければならない決まりはない

独身時代に貯めたお金について、彼女に言いたくなければ言う必要はないでしょう。独身時代の貯金は全額自分のものであっても、金額を伝えることであてにされることも想定できるからです。それでは、結婚前の貯金が自分のものである意味がなくなります。

もしかしたら、結婚式や新婚旅行、住宅の購入などでお金が必要になったタイミングで、彼女と現在の貯金額について話し合いが必要になるかもしれません。そのときは、臨機応変に対応してください。

実際よりも少なめの金額を伝える、または彼女が正直に言ってきたのであれば、自分も現在の貯金額を伝えるしかないでしょう。

借金がある場合は彼女に伝えたほうがよい

独身時代に貯めたお金について、彼女に伝えるかどうかは個人の判断で問題ありません。しかし、借金については伝えたほうがよいでしょう。結婚前の借金が理由で言い合いをしたり、結婚の話が白紙になったりするケースも十分に有り得るからです。

借金がある場合は正直に彼女に話して、結婚前に完済できる返済計画を立てる、結婚を白紙にしないで少しずつ返済していくなどの対応を検討しましょう。

結婚前の貯金額を伝えるかどうかはそのときの状況で判断しよう

独身時代に貯めたお金は夫婦共有の財産ではありません。結婚相手となる彼女に伝えたところで、そのお金を彼女が自分のものとして使うことはできないのです。お小遣いが足りないとき、どうしても欲しいものがあるときなどに、独身時代に貯めたお金を充てられるでしょう。

しかし、結婚式や新婚旅行、住宅の購入、子育て費用というように、大金を必要とするタイミングが必ずやってきます。そのような状況に直面した際には、独身時代に貯めたお金を足しにするといったことも検討してみてください。

出典

株式会社 SBI新生銀行 2023年会社員のお小遣い調査

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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