井上尚弥、入場料は日本史上最高額 タイソン戦の「倍以上」、年内はSバンタム級でサウジ開催も

横浜市内の会見でフォトセッションに応じた井上尚弥(前列左)、ルイス・ネリら【写真:荒川祐史】

Amazon プライム・ビデオで独占生配信

ボクシングの世界スーパーバンタム級4団体統一戦12回戦が6日、東京ドームで行われる。4日は神奈川・横浜市内で会見が開かれ、メインイベントの王者・井上尚弥(大橋)と元世界2階級制覇王者の挑戦者ルイス・ネリ(メキシコ)らが出席。34年ぶりの東京Dボクシング興行は、入場料収入が過去の日本史上最高額の倍以上になるという。さらに井上は年内をスーパーバンタム級で戦い、サウジアラビア開催も候補だと関係者が明かした。戦績は31歳の井上が26勝(23KO)、29歳のネリが35勝(27KO)1敗。

両者とも落ち着いた様子で意気込みを語った。100人を超える国内外の報道陣、関係者が集結。井上はネリと3月の試合発表会見以来の対面となった。スーパーバンタム級のリミットは55.3キロ。前日計量を翌日に控え、「いよいよこの日が来たなという想い」と心身ともに仕上がっていた。

サングラス姿のネリは全身黒ずくめのいかつい装い。会見冒頭、選手たちは名前を紹介されると立ち上がって挨拶したが、ネリだけは微動だにせず座ったまま。ガムをくちゃくちゃと噛みながらふてぶてしさを感じさせ、「体重はもうリミット内だ。だから問題ない」と豪語した。

5万人以上を集めた1990年のマイク・タイソン―ジェームス・ダグラス戦以来、34年ぶりの東京Dボクシング興行。興行に携わる帝拳プロモーションの本田明彦会長は、入場料収入は今回が日本史上最高だとした。2度のタイソン戦は最高額のチケット代が1試合目は10万円、2試合目が15万円だったというが、今回はリングサイド席が22万円。「ゲート収入は過去最高額の倍以上になるでしょう」と明かした。

2022年4月のゲンナジー・ゴロフキン―村田諒太戦は、日本最高額の20億円を超える規模の興行だった。金額自体は海外マネーのあった同興行と比較できないが、「日本人絡みでは今回が最大のイベントです」と説明した。

この日の会見に出席したボブ・アラムCEO【写真:荒川祐史】

ボブ・アラム氏も取材対応、井上は年内Sバンタム級、サウジ開催も候補

この日は、井上と共同プロモート契約を結ぶ米興行大手・トップランク社のボブ・アラムCEOも駆け付けた。92歳の世界的プロモーターは「イノウエチャンピオンはボクシング界でレジェンドになっています。日本だけではなく、世界中のボクシングファンの皆さんがイノウエチャンピオンの試合を集中して見る」と期待。日本以外の国で戦うことにはこう持論を展開した。

「日本国外での試合はありえませんし、バカげていると思います。国内であれほど人気があり、強さを誇る選手はいません。今、日本がボクシングの軽量級の中心になっています。東京ドームの世界戦4試合は全て軽量級です。井上が日本から出るのは何のためですか? 逆に聞きたいです」

昨年末に莫大なオイルマネーを持つサウジアラビア開催の構想も浮上したことには「サウジアラビアは常にトップを求めています。年内にオファーがあるかもしれませんが、金額や時期は(井上陣営の)大橋秀行会長が考えることです。オオタニと一緒でどんなオファーがあるか、です」と話すにとどめた。フェザー級転向については「まずこの試合の結果を見てから。大橋会長と話をしていますが、年内はスーパーバンタム級にいようということになっている」とした。

この日、井上は「こんなに素晴らしい環境とタイミングが揃う試合はない。まず4つ防衛するという最大のモチベーションを生かして必ず勝ちに行きたい」と感謝。ネリは「死を覚悟して戦いに挑む。勝者になると確信している」と王座奪取を誓った。

○…Amazon プライム・ビデオにて「Prime Video presents Live Boxing」の第8弾として独占生配信される。井上―ネリ戦のほか、元K-1王者・武居由樹(大橋)がWBO世界バンタム級王者ジェイソン・マロニー(豪州)に世界初挑戦。井上の弟のWBA世界同級王者・拓真(大橋)が同級1位・石田匠(井岡)と2度目の防衛戦を行う。WBA世界フライ級王者・ユーリ阿久井政悟(倉敷守安)は同級3位・桑原拓(大橋)と初防衛戦。同じ興行で世界戦4試合は国内史上最多となる。

THE ANSWER編集部

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