【俳優・奥山かずさ】産後、体はボロボロなのに心はハイ!のチグハグさ。「子育てって自分と向き合うことなんだ」と実感

俳優として活躍する、奥山かずささん。2023年に結婚し、第1子となる男の子を出産。現在は夫婦で力を合わせながら、初めての子育てに奮闘しているそうです。満身創痍(まんしんそうい)だったという産後について、また子育て支援センターに通う日々の子育てや産後ダイエットについて聞きました。
全2回インタビューの2回目です。

スーパー戦隊シリーズでデビューした俳優・奥山かずさ。第1子の出産は自然分娩を選択するも、30時間の陣痛は痛みで記憶がない!?

産後の体はボロボロに。夫と実母のサポートで少しずつ回復

家族3人でお出かけ。奥山さんと息子さんのリラックスショット。

――息子さんを出産したあと、何か利用したサービスなどはありますか?

奥山さん(以下、敬称略) 妊娠前には、産後ケアセンターや産後ケアホテルなどいろいろと調べていて、入りたいところはたくさんあったんです。でも、いざ産後となると毎日がバタバタで、あっという間に過ぎていってしまうので、ケアセンターをスケジュールに組み込む余裕がなくなってしまいました。

ケアセンターを利用するのであれば、前もって決めておくべきでした。ただ、初めての出産なので、産後に自分がどのぐらい動けるのかわからなくて…。今にして思えば、私は完全に出産をなめていたと思います(笑)。もし次の機会があるなら、今度は利用してみたいですね。

出産についてはネットやYouTubeで調べたり、「たまひよ」の雑誌を読んだりと、事前に勉強して臨んだつもりだったんですが、実際にはイメージしていたよりも、ずっと大変でした。これが、百聞は一見にしかずということだなと実感し、準備をしすぎるに越したことはないなと思いました。

――産後は、家族のサポートを受けられましたか?

奥山 私の母親が、2カ月間サポートに来てくれました。実は出産前、母には「お母さんは来なくていい!夫婦2人で大丈夫だから」と伝えていたんです。でも、出産経験のある友だちなどに聞くと「絶対にサポートは受けたほうがいいよ!」と。私が意地になっていたところもありましたが、まわりのアドバイスを聞いて観念して、お母さんに来てほしいと伝えました。

結局、母親を頼ることは間違いじゃなかったと思います。母親と夫が、家事などをすべてやってくれて、私は息子の世話だけに集中することができました。食事に関しては母親にすべてお願いして、母乳のために栄養のあるものをたくさん作ってもらいましたね。

母も、自身の出産後には両親やまわりのサポートを受けていたと言っていました。時代も時代だし、さらに青森という地域柄もあり、まわりにはたくさんの家族や親戚がいました。母が私を出産したときにはいろいろな人に助けてもらっていたようです。

私は青森県、夫は鹿児島県出身なのですが、私たち2人とも、両親はもちろん祖父母や地域の人にも育てられてきたんです。だから、私の母も、そして義母も、「とにかく、まわりをたくさん頼りなさい」と言ってくれています。

「そうは言っても、ここでは頼る人がいないんだよな〜」なんて思っていたんですが、調べてみると、利用できる自治体のサービスなどが実はいろいろあるんですよね。これから困ったときには、そういったサービスなどを積極的に利用させてもらおうかなと思っています。

――産後の体調はどうでしたか?

奥山 後陣痛(こうじんつう)もかなりひどくて、産後1カ月はもうボロボロでした。いきむときに、力まなくていいところに力を入れすぎていたようで、全身疲労困ぱい。叫びすぎて声もガラガラでした。産後2週間ぐらいまでは、どこかにつかまらないと立ち上がれない状態だったので、とにかくできるだけ寝ていました。会陰(えいん)切開したところが痛んだり、息子が母乳をうまく吸えなかったりと、小さなトラブルもけっこう多かったです。

でもそんな中でも、新生児の息子はとにかくかわいくて癒やしの存在でした。体はボロボロなのに、心だけはハイな状態という、チグハグで不思議な感覚。息子が隣にいなかったら、完全に廃人になっていたかもしれません(笑)

メンタル面では、産後うつのことを事前に調べて、心積もりをしているつもりではあったんです。でも実際、産後は急に涙が出てきたり、落ち込みやすくなったり、母親に「やめて!」「触らないで!」と当たってしまったりということがありました。この不安定さは産後のホルモンのせいだと考えるようにして、「今だけだ!」と、うまくしのいでいた感じです。

母がいてくれた2カ月間で、本当にスローペースですが、心も体もだんだんと回復していきました。しだいに軽いストレッチができるようになってきて、心も安定してきました。

――パパは、どのように育児に参加されていますか?

奥山 夫はすごく積極的に育児に参加していますね。父親学級に行きたがっていたのですが、スケジュールが合わなくて参加ができなかったので、自分でYouTubeを見て、沐浴やおむつ替えなどのしかたを勉強してくれていました。

私が伝えないとわからないこともたくさんありましたが、私自身も子育て初心者なので、2人で探り探りという感じで育児をしています。

夫は育休を取得したい気持ちがあったのですが、仕事が忙しくてそれがかなわなかったんです。それでも、育児への意欲はあるので、その気持ちをそがないようにだけは気をつけています。限られた時間で育児を一緒にしてくれるので、「そこは違うよ!」などと上から指摘するような言い方はできるだけ避けるようにしています。

あとは夫には、育児中の出来事を報告するようにしています。「今日はこんなことをしていて、楽しそうだよ」とか「こんなことが大変だったよ」など、できるだけ共有することで、私1人だけが育児をしているという感覚にはならないんです。

また、週4日で子育て支援センターに通っているのですが、そこで知り合ったママ・パパたちの話を聞いていると、それぞれの家庭によって状況が違うことを感じます。育休を取ってママと交代で来るパパ、ママが働いていていつもパパが来ているご家庭、なかには、希望どおりに育休が取れなかったという声も。これがリアルなのかもしれないな~なんて感じています。

息子を抱っこしながら適度に運動して、楽しく産後ダイエットも

ベビーカーを押して、広い公園へお散歩。

――産後ダイエットで体型を戻されたそうですが、どのようなことを実践しましたか?

奥山 ダイエットを始めたのは、産後3カ月ぐらいからです。あまり早く始めすぎたり、ピッチを上げたりするのはよくないので、産後にたっぷりと回復の時間を取ってから、本当にゆっくりゆっくり始めました。あせらずに、あまり過度な運動にはならないようにしながら今も続けています。

息子を預けてジムに行ったり、ランニングしたりはできないので、息子と一緒にできることをしています。家では、床に息子を寝転がせながらすぐそばでできる運動、屋外では、息子とのお散歩が日課になっています。ベビーカーを押しながらウォーキングするときもありますが、ちょっと負荷をかけたいときは、息子を抱っこひもで抱っこしながらのウォーキング。合間で、軽くスクワットもしています。

お散歩は私のダイエットも兼ねていますが、息子に外の景色をたくさん見せたいという思いもあります。運動をしながら、息子とのコミュニケーションも楽しめますしね。

子育ては“自分”と向き合うこと。どう対応するか試されることの繰り返し

――ママになったことで、奥山さんの考え方に変化はありましたか?

奥山 産後は食事に気をつかうようになりました。ダイエットのためというのも多少はありますが、自分が食べたものが、母乳をとおして子どもの栄養にもつながると思うと、食生活に対する意識も高まりました。

考え方も変わった気がします。子育てって、“自分対子ども”だと思っていたんですが、自分自身と向き合うことでもあるのかなって。切羽つまったときやあせってしまう瞬間などに、自分がどう対応するかを試されているなと感じます。これを繰り返せば、私も人として成長できるんじゃないかなと思いますね。

今までは物事を直線的に見ていましたが、母親になってからは、大きな視野で客観的に見られるようになったような気がします。

――これからどんなふうに息子さんを育てていきたいですか?

奥山 思いやりのある子、自己肯定感が高い子など、挙げればいろいろありますが。まずは第一に、健やかな体を作ってあげたいです。そのために私ができることは、食事と睡眠など、衣食住を整えることかなと思っています。

3500gとちょっと大きめに生まれてきた息子ですが、8カ月ですでに8キロを超え、筋肉質体型。夫が野球をやっていて、体も大きいほうなので、そのあたりは遺伝なのかなと思います。夫はスポーツが得意なので、将来は一緒にできたらいいですね。今は仕事で育児になかなか参加できない分、息子が走り回れるようになったら、外遊びやスポーツは夫に任せたいなと思っています。

――子育てをしていて、幸せに感じる瞬間はどんなときでしょうか。

奥山 息子が笑ってくれたり、ちょっと動いたりしただけでも、「笑った!」「こっち見たよ!」と、家族みんなで大騒ぎです(笑)。私と夫、そして私の両親と夫の両親みんなで喜び合える瞬間が、とにかく幸せですね。

それから、通っている子育て支援センターでも、同じような幸せな瞬間がたくさんあります。だれかのお子さんが初めて立ったときには、「おお〜〜〜〜、立った!」「おめでとう〜!」と、そこにいるみんなで、その子の成長を喜び合うんです。そんなあたたかな世界が広がっていて、これが母性なのかなと思うんですが、人生でこんな気持ちになったのは、初めてです。

お話・写真提供/奥山かずささん 取材・文/内田あり、たまひよONLINE編集部

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息子さんを出産後は、とにかく満身創痍だったという奥山さん。しかし、夫と実母のサポートによって、体は少しずつ回復し、今では息子さんと散歩しながらの軽い運動を楽しんでいるそうです。家族はもちろんですが、子育て支援センターで知り合ったママ友たちとともに、子どもの成長を喜び合えるあたたかな日々が続いています。

●この記事は個人の体験を取材し、編集したものです。
●記事の内容は2024年4月の情報で、現在と異なる場合があります。

奥山かずささん

PROFILE
1994年生まれ、青森県出身。2016年に第1回「ミス美しい20代コンテスト」で準グランプリを受賞。2018年にはスーパー戦隊シリーズ「快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー」にて明神つかさ/パトレン3号を演じ、俳優デビュー。その後「キワドい2人-K2- 池袋署刑事課神崎・黒木」「ケイジとケンジ~所轄と地検の24時~」「となりのチカラ」などのドラマに出演。2023年8月に第1子となる男の子を出産。

2024年5月1日(水)から5月5日(日)まで下北沢 駅前劇場にて上演される、劇団マカリスター第十回公演『なんでそこまで』では出演を務める。

『なんでそこまで』公演情報

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