日本人初の東京Dボクシング世界戦「2人だけの物語がある」 3年ぶり再戦の阿久井VS桑原拓が火花

タイトルマッチに向けた会見に臨んだユーリ阿久井政悟(左)と桑原拓【写真:荒川祐史】

Amazon プライム・ビデオで独占生配信

ボクシングのWBA世界フライ級タイトルマッチ12回戦が6日、東京ドームで行われる。4日は神奈川・横浜市内で会見が開かれ、初防衛戦の王者・ユーリ阿久井政悟(倉敷守安)、世界初挑戦の同級3位・桑原拓(大橋)らが出席。34年ぶりの東京Dボクシング興行で、日本人最初の世界戦を務める2人が心境やコンディションなどを明かした。戦績は28歳の阿久井が19勝(11KO)2敗1分け、29歳の桑原が13勝(8KO)1敗。

2年10か月ぶりに再び拳を交える。壇上に並んだ2人からは静かな闘志と敬意が溢れていた。阿久井は「一度対戦して、僕がKO勝ちしている。その相手に挑む桑原選手は凄い。その気持ちをしっかり受け取って勝ちたい。そんな僕らの戦いを応援してほしい」と力を込めた。

桑原も「(同興行内で)唯一の再戦。2人だけのこれまでのストーリーもある。そういうところも含めて試合を楽しみにしてほしい。4つタイトルマッチがある中の一発目。しっかり熱いファイトを繰り広げて盛り上げたい」と意気込んだ。2021年7月、日本フライ級王者だった阿久井が桑原に10回TKO勝ち。初回と最終回にダウンを奪い、桑原は担架で運ばれていた。

1990年のマイク・タイソン―ジェームス・ダグラス戦以来34年ぶりの東京Dボクシング興行。メインイベントは、世界スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥(大橋)と元世界2階級制覇王者ルイス・ネリ(メキシコ)の歴史的一戦だ。メインイベントを日本人が務めるのは初めてだが、世界戦4つのうち阿久井―桑原がトップバッター。ともに東京Dで世界戦を行う最初の日本人になる。

2年10か月ぶりのリベンジマッチに桑原「いよいよか」

阿久井は今年1月に6度防衛中だった王者アルテム・ダラキアン(ウクライナ)に3-0の判定勝ちを収め、岡山のジム初となる悲願の世界王座奪取を果たした。初防衛戦へ、東京で4週間スパーリング合宿。「仕上がりは順調。いいコンディションで臨める。瞬きしたら4週間が終わっていた、というぐらい良い練習ができた。明後日が楽しみ」と万全をアピールした。

桑原はプロ14戦のうちデビュー戦の東京・大田区総合体育館以外、全て後楽園ホールで戦ってきた。4日にエディオンアリーナ大阪で、IBF世界バンタム級1位・西田凌佑(六島)が王者エマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ)に世界挑戦。勝てば日本ジム所属選手99人目(日本ボクシングコミッション公認)の世界王者になるため、桑原が勝てば100人目だ。

前回の阿久井戦は、僅差の劣勢だった最終回に逆転を狙ったところでダウン。得意のスピード一辺倒だった自分を見直し、パワーもつけて戻ってきた。再起後は5連勝中。阿久井の世界王座奪取はリングサイドで観戦していた。「過去にないぐらい仕上がっている。(阿久井とは)2年10か月ぶりの対面。顔を見て『いよいよか』という印象」とリベンジマッチに闘志を燃やした。

○…興行はAmazon プライム・ビデオにて「Prime Video presents Live Boxing」の第8弾として独占生配信される。井上と阿久井―桑原戦のほか、WBO世界バンタム級5位・武居由樹(大橋)が王者ジェイソン・マロニー(オーストラリア)に世界初挑戦。尚弥の弟のWBA世界同級王者・井上拓真(大橋)が同級1位・石田匠(井岡)との2度目の防衛戦に臨む。同じ興行で世界戦4試合は国内最多3試合を超える史上最大規模となる。

THE ANSWER編集部

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