女子ゴルフ最終日は日韓女王対決へ 山下美夢有が追う相手は愛称「メンタルクイーン」の21歳

第3日をプレーしたイ・イェウォン【写真:Getty Images】

ワールドレディスサロンパス杯第3日

女子ゴルフの国内ツアーメジャー大会・ワールドレディスサロンパス杯は4日、茨城GC東C(6665ヤード、パー72)で第3日が行われた。1打差の2位で出た2023年韓国ツアー賞金女王イ・イェウォン(韓国)が5バーディー、ボギーなしの67で回り10アンダー。2位の山下美夢有(加賀電子)に3打差つけて単独首位に立った。正確無比なショット、アプローチ、パットには同組の佐久間朱莉(大東建託)が「全く隙がなかった」と唸るほど。母国で「パーフェクトバニー」「メンタルクイーン」と呼ばれる21歳が、日本ツアー初戦にしてビッグタイトル獲得を狙う。

愛称通り、パーフェクトなラウンド。イェウォンが大ギャラリーに強烈なインパクトを与えた。1番パー5。ピンまで残り83ヤードから58度ウェッジで放った第3打は、バックスピンをかけてピン横2メートルにつけた。9番パー5では、残り100ヤードから第3打をスピンをきかせてグリーン奥のカラーにストップ。6メートルのバーディートライだったが、パターを使ってカップの真ん中から沈めた。

後半は11番パー4、12番パー4で連続バーディー。18番パー5でもスコアを伸ばし、混戦から抜け出した。

「難しいコースなので無理はせず、パー5でバーディーを意図的に獲ろうと思っていました。前半は暑くて体力的に辛かったのですが、後半は集中力が出てきました。グリーンは硬いと思ったのですが、(大会前日の)雨で思ったより柔らかいという印象。スピンは狙ってというよりも、自然とかかっているという状況です」

こうコメントしたが、グリーンは晴天で日に日に硬くなっている。その状況下でイェウォンは男子プロ並みの鋭いスピンをかけ続けた。唯一のピンチだった8番パー4でもグリーン手前ラフからの第3打でスピンをかけ、ピン下2メートルにつけてパーを拾った。

その様を見ていた同組の佐久間からは「ドライバー、アイアン、グリーン周りも全てが上手で隙がありませんでした。すごいです」と絶賛の声が上がるほどだ。

8歳でゴルフを始めたイェウォンは、2021年にプロ転向。3年目の昨季韓国ツアーで3勝して賞金女王を獲得したほか、KLPGA大賞、平均ストローク1位と合わせ3冠に輝いた。上品で愛らしいルックスもあり人気は急上昇。ファンクラブも結成された。そして、「パーフェクトバニー」「メンタルクイーン」の愛称もついた。

「昨年、韓国のメジャー大会で優勝した頃からそう呼ばれるようになりました。自分ではメンタルは強いと思いませんが、ミスをしても、いいプレーをしてもすぐに切り替えることはできています」

日本の女王・山下は3打差2位から追い上げへ「いつも通りのプレーで」

今大会は世界ランク50位(前週を終えて35位)以内の資格で出場。日本ツアー初戦がメジャー大会となり、いきなり優勝に王手をかけた。勝てばプロテスト免除でJLPGA(日本女子プロ協会)会員になれ、日本ツアー出場資格も手にできる。

今後、日本を含めた海外ツアーでのプレーも視野に入れる21歳は、明日5日の最終日で2年連続のJLPGA年間女王・山下と最終組で回る。「ファイナルで日本の女王とご一緒できることは光栄ですし、楽しみです」。そして、「勝つための条件」を聞かれると、「全体のスコアは無視をして、自分のスコアだけにフォーカスすることです」と即答。メンタルクイーンの本領を発揮し、自分の道を拓きにいく。

○…8位から出た山下は5バーディー、1ボギーの68で回って通算7アンダーとし、イェウォンに3打差の2位につけた。終盤はショットが乱れて苦しんだというが、最終18番パー5でも1メートルの下りパットを入れてパーセーブ。伸ばして、耐えて逆転優勝への可能性を残した。今大会は2年前に制し、それをきっかけに快進撃。初の年間女王に輝いた。昨季も女王の座を守った山下はイェウォンとの日韓女王対決について問われると、「明日が初めましてなんですよ。でも、楽しみです」。その上で「久しぶりの優勝争いで追いかける立場ですけど、いつも通りのプレーで回れたらと思います」とイェウォンと同じく「自分は自分」に徹する心構えを明かした。

THE ANSWER編集部

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