「子どもを思うと離婚できない」親心の裏で → 学校では、子どもに【ある異変】が起きていて──?

筆者が教育関係の仕事をしていた頃、保護者に「離婚を考えていますが、子どものことを思うとできません……」という相談をよく受けました。そういう時は、「子どものためにこそ、離婚をすることも一つの方法かもしれませんね」と答えてきました。筆者の実体験を詳しくお話したいと思います。

ヒーローチルドレンだった

私は子どもの頃、「ヒーローチルドレン」でした。
「ヒーローチルドレン(Hero Children)」とは、海外で最近よく使われている言葉で、
調べてみると、日本では「アダルトチルドレン(機能不全家族の元で育った子ども)のヒーロータイプ」と出てきます。
両親や家族の人間関係を調整したり、励ましたり、支えたりする役割を担う子どものことを指します。親の期待に応えようと、勉強やスポーツなどを必死に頑張り続けるという傾向もあるそうです。

私は幼い頃、両親のケンカが始まると、ふたりの間を行き来して、「ケンカをやめて」と仲裁に入っては「大人の話に入らなくていいの!」と、叱られていました。
この役割は、私が成人後、一人暮らしのために実家を出るまで続き、
もうその頃には、家族の調整役でいることに、ほとほと疲れ切っていました。

その後に教育関係の仕事につき、保護者からよく家庭の相談を受けるようになりました。

「離婚を考えてる」時の子どもは……?

「うち、離婚をするかもしれないんです。今考えてる最中で……でも子どものことを考えるとできないなって」
何度も似たような話を聞いてきました。
そのたびに、子どもの様子に気をつけるのですが、そういう時の子どもは、だいたい不安定です。
学校で突然泣き出したり、ふさぎこんだり。
反対にケンカをよく起こすようになったり、テンション高く振るまったりもします。
子ども本人と、家庭の問題について直接話をすることもあります。
「パパとママは離婚するけど、どっちに来る? って聞いてくる。そんなの決められない」
そんな話を聞くと、こちらも胸がつぶされそうになります。

そこで、保護者から相談を受けた時は、
「経済的に見通しがあるなら、子どものためにこそ、離婚はひとつの方法だと思いますよ。
その方が子どもが安定することが多いです」と答えていました。

「離婚をした」後の子どもは……?

実際に離婚をしたあとは、生活は大変になることもありますが、子どもは吹っ切れることが多いようです。
「先生、もう大丈夫」と元気になる子どもがたくさんいました。もちろん難しい子もいます。
でも、親が生き生きと人生を歩んでいることが、まずは子どもの力になるのだと思っています。

そして何より私自身、両親が離婚していれば、
「ヒーローチルドレン」として無理に頑張らなくても良かっただろうに……と振り返るのです。

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:田中つぐみ

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