駅で「財布を忘れた」という男性に遭遇! 同情して「1000円」を貸したけど、実は「寸借詐欺」だった!? 身分証明書を見せられても信用するのは危険? 注意点を解説

寸借詐欺とは?

寸借詐欺(すんしゃくさぎ)とは、返す意思がないにも関わらず、「あとで返す」とうそをついて金銭をだまし取る詐欺行為の1つです。

人をだまして勘違いをさせ、物や利益を交付させて相手に財産上の損害を負わせることで、金額の多寡に関わらず「詐欺罪」となります。

「後で返すから少しだけお金を貸して」といわれて貸したものの、渡された電話番号にかけても、つながらないことによって寸借詐欺だと気付くことがほとんどです。

寸借詐欺は、人の善意に訴えかけてやさしさにつけ込む卑劣な詐欺行為なので、手口や特徴などを把握しておき、いざという時に適切な対処を取れるようにしておきましょう。

寸借詐欺の特徴や対処法

寸借詐欺では数百円から数千円ほどの金額を提示されることが多く、急(せ)かしたり罪悪感を抱きやすくしたりと、詐欺だと見分けにくいのが特徴です。

寸借詐欺を判断する基準には以下のような手口が挙げられます。

__●少額の金銭を要求してくる
●判断を急かしてくる
●断りづらい頼み方をしてくる
●連絡がつながらない__

例えば「もうすぐ電車が来てしまう」と言って急かしたり、「今すぐにお金がないと困る」と善意に訴えたりと、被害者が深く考える時間や誰かに相談する時間を与えないのも寸借詐欺の特徴の1つです。

また、電話番号や住所など身分を提示してきたり、名刺や身分証を渡されたりと、被害者を安心させる手口や、「家族が病院に運ばれてすぐに行かなくてはならない」などのような断りにくい手口もあります。

寸借詐欺の場合、身分を明かされても連絡先などのすべてが架空のものであることがほとんどなので、身分証を見せられても信用しないことが大切です。

そのためお金に困っている人に会ったら、まず交番に案内してあげましょう。
交番で相談することで、「公衆接遇弁償費」という要件を満たした人が一時的にお金を貸してもらえる制度を使える可能性があります。

また、電話番号を渡された場合は、実際にその場でかけてつながるか確認をしたり、身分証明書の写真を撮らせてもらったりすると良いでしょう。

寸借詐欺の予防には、とにかく「見ず知らずの人にお金を貸すのは危険」だという認識を強く持ち、どんな手口にあっても、いったん落ち着いて冷静に考えることが重要です。

寸借詐欺にあってしまったらどうする?

寸借詐欺の被害にあった場合は、まず警察に相談してみましょう。

詐欺師の身分証の控えや写真、また詐欺師が書いた借用書や日付・場所などの被害の詳細といった証拠が集まれば、詐欺罪が立証される可能性があります。

ただし、相手が本当にお金に困っていて実際に返す意思がある場合は、詐欺ではなく「借金」という扱いになるため、寸借詐欺は立証が難しいといわれています。

立証が難しく事件化できないことが多い寸借詐欺は、特に普段から気をつけておくことが大切です。警察に相談した上で警察が動いてくれない場合は、弁護士や探偵などの民間機関に相談してみるのも1つの手でしょう。

まとめ

寸借詐欺とは、人の善意につけこんで少額の金銭をだまし取る代表的な詐欺行為の1つで、急かしたり善意に訴えたりする手口で冷静な判断がしにくく、借金との見分けがつきにくいのが特徴です。

寸借詐欺の場合、身分を明かされても連絡先などのすべてが架空のものであることがほとんどなので、身分証を見せられても信用はせず、お金に困っている人に会ったらまずは交番に案内してあげましょう。

寸借詐欺の被害にあってしまった場合は、まず警察に相談することが大切ですが、詐欺罪は立証が難しいため事件化できないことが多いことを理解し、詐欺には普段から気をつけておくことが大切です。

執筆者:梅井沙也香
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