トイレットペーパーを盗む、便器に突っ込む... 公衆便所を悩ます「悪質利用者」の行状《年間2500万円の経費も...》

J-CASTニュースで2024年4月15日に配信した記事『駅トイレからトイレットペーパー撤去 張り紙が波紋...JR四国がそうせざるを得ない理由』に反響が寄せられている。

JR予讃線・端岡駅(香川県高松市)のトイレに、「5月1日より、このトイレに『トイレットペーパー』は設置いたしません」とのお知らせが掲出された一件(記事にて詳報)に多くの意見が出ている。

トイレットペーパーを巡る騒動は以前にも起きていて、中でも名古屋市内のほとんどの公園トイレにトイレットペーパーがないことは地元テレビ局でも取り上げられた。今回は改めてこの出来事を振り返りたい。

(2018年9月26日配信の記事を再構成しています。年齢や肩書などの情報は、注記のない限り当時のものです)

公園が設置されたときからトイレットペーパーはない...

名古屋市内のほとんどの公園トイレにトイレットペーパーがないことが市議会で取り上げられ、地元テレビでも報じられた。 理由はいろいろあるようだが、ネット上では、その是非を巡って様々な意見が出ている。

(写真2)名古屋市役所(写真ACより)

「公衆トイレのトイレットペーパーは必要なのか、公園のトイレ巡り議論」。きっかけは、中京テレビが2018年9月25日、こんなタイトルの記事を配信したことだ。ヤフー・ニュースにも配信された。

名古屋市の緑地維持課にJ-CASTニュースが26日に聞いたところによると、東山動植物園などの有料施設を除いた市内の591公園にあるトイレ826棟のほとんどで、トイレットペーパーは置かれていない。

元々、公園が設置されたときからそうだという。

その理由の1つとしては、費用の問題が挙げられる。全国に20市ある政令指定都市について名古屋市が調べたところ、トイレの棟数が2番目に多い。このため、ペーパー補充などの手間がかかり、1棟年間3万円で計約2500万円の経費になるという。

もう1つが、利用者のマナーの問題だ。自分でペーパーを用意すれば済むとして、市では、必要性もないと判断した。

1994年の市議会で、ペーパーを置く試行をしてみたらどうかと提案され、比較的大きな3公園のトイレ9棟で実際に置いてみた。ところが、ロールごとペーパーを便器に突っ込んでトイレが詰まってしまったり、ペーパーが頻繁に盗まれ、ホルダーも壊されたりした。

その結果、現在では、3公園の一部でしかトイレットペーパーを置いていないそうだ。

とはいえ、ペーパーがないことで不便だと訴える声はあるらしい。

市議会でも必要性めぐり論議

9月25日の市議会9月定例会では、自民党の松井良憲議員が議案外質問に立ち、公園トイレにペーパーはいるのではないかと市の考えをただした。

これに対し、市も、内外からの観光客の利便性や名古屋の魅力度アップを考えて、2019年度からいくつかの公園でトイレットペーパーを置く試行をしたいと答弁で明かした。

中京テレビの記事では、「名古屋は2年連続、魅力がないまちと評価されており、オリンピック開催を控える今、『公園のトイレにトイレットペーパーを常設して、観光客の印象を良くしてみては』という議論が起きている」と紹介している。

(画像3)ペーパーを置いても...問題はマナー?(写真ACより)

ニュースのコメント欄やネット掲示板では、名古屋市がペーパーを置いていないことについて、疑問の声も次々に上がっている。「いや普通は備え付けだろ」「旅行先で駆け込んだトイレに紙が備え付けられてなく、持ち合わせもなかったら最悪だ」「こんなことするから 魅力無い都市になるんだよ」といったものだ。

一方で、ペーパーを置いてもうまくいかないのではと疑問視する向きも多かった。「結局・・マナーの悪い市民が多い」「住民自身が大切にしていない街の魅力度を上げようとしても難しい」「予算があるなら、清掃の回数増やした方がいいのでは?」といった冷めた声も漏れている。

なお、名古屋市の緑地維持課によると、全国の政令指定都市では、ほかに3市の公園トイレにペーパーが置かれていないという。

(J-CASTニュース編集部 野口博之)

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