戦の山寺「月峰寺」に残る巨石&遺構群「関西百名山」の一座「剣尾山」実踏レポ

剣尾山山頂からの眺望(撮影:野口宣存)

大阪府豊能郡能勢町(とよのぐんのせちょう)に位置する剣尾山(けんびさん・けんぴさん)は、標高784mの修験道の山。「関西百名山」にも選ばれており、大阪50山の一つとしても知られている。

剣尾山は、行者山(ぎょうじゃやま)と横尾山(よこおさん)を合わせて巡る全行程4時間前後の縦走コースが人気だ。しかし今回は剣尾山にターゲットを絞り、最短距離で登るルートを紹介する。

■剣尾山の最短ルート

剣尾山はかつて山頂付近に「月峰寺(げっぽうじ)」という大寺院があった信仰の山だ。今回紹介する往復2時間弱の最短ルートは、昔の道標も残る「月峰寺」の参道である。

このルートは廃業したキャンプ場跡地を抜け、沢沿いを進む。尾根まで行くと間もなく7合目の道標が現れる。登山口から山頂までひたすら登りではあるが、急登というほどでもないため、ゆっくり登ればそんなにしんどくはない。

また道もはっきりしており、わかりやすい道標もあるため、登山ビギナーでも安心だ。

■まるで城跡探検の剣尾山

戦国時代、剣尾山山頂付近にあった「月峰寺」には、戦うお坊さんたちがいたらしい。そして、丹波の豪族である波多野氏に攻め落とされて全焼。その後、戦国武将 三好長慶(みよしながよし)により再興された。

しかし江戸時代前期、「月峰寺」は山麓の大里集落に移転。山の上の「月峰寺」は廃寺となった。剣尾山登山道の7合目から頂上付近にかけては、その「月峰寺」跡を歩くルートである。

登山道周辺には石垣や柱の土台となる「礎石(そせき)」、「石仏」がいたるところにあり、当時の寺院の様子が思い浮かぶ。特に斜面一帯に広がる無数の「曲輪(くるわ)」跡の保存状態がよく、まるで城跡探検をしているような雰囲気が味わえる。「曲輪」とは、城の中にある平らな区画のこと。「曲輪」は時代が下ると、本丸や二の丸等のように、「○○丸」と呼ばれるようになる。

山頂は眺望がよい大岩が散在する場所だ。その大岩の中には、よく見るとうっすらと文字や仏様が彫ってあるものもある。誤って踏んで仏罰を受けないよう、注意が必要だ。

■剣尾山登山口へのアクセス方法

最寄りのバス停は阪急バス「能勢町宿野(しゅくの)停留所」。能勢電鉄「山下駅」からバスで約30分である。

「能勢町宿野停留所」から登山口までは約3.5kmで、徒歩で約1時間かかる。帰路は下りなので、約45分で戻ってこられるだろう。

なお、「山下駅」~「能勢町宿野停留所間」のバスの本数はかなり少なめ。「能勢町宿野停留所」から「山下駅」までは11kmあるので、行きはもちろんのこと、帰りのバスの時間も事前に確認しておこう。

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