【GWに読みたい介護の話】帰省時の実家ではココを見る「認知症の兆候が隠れる3つの場所」

その「小さな違和感」が、早期発見に繋がるかもしれません

あっという間にゴールデンウイークも後半戦に。旅行やレジャーの合間に、ちょっと実家にも立ち寄って親に顔を見せようという人もいると思います。

比較的ゆっくり時間がとれる連休中の帰省は、シニア世代の親たちの変化に気づける機会にもなります。ふとした違和感が実は「認知症の兆候」だった……ということも少なくないのです。

楽しい時間が過ごせればそれに越したことはないですが、久しぶりに実家を訪れたらぜひ「3つの場所」を確認してみてください。もしかしたらそこに何からのサインがあるかもしれません。

本当は医療や介護が必要な状態なのに、そのままにしてしまって後から後悔することのないように、シニア世代の親たちに変化がないか気をつけてみましょう。結果的にそれが家族の暮らしやお金を守ることにつながるのです。

今回は認知症の実母の介護を7年間おこなった筆者の実体験を踏まえてお話ししていきます。

※認知症の症状や進行具合はその人によって異なります。医療機関を受診し、信頼できる医師の指示のもとで、適切な療養・介護を行ってください。

※編集部注:外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。

帰省時の実家ではココを見る「認知症の兆候が隠れる3つの場所」

自分の親が認知症になることは、あまり考えたくないかもしれませんが、初期症状は見逃さずにキャッチできたらよいですね。

対面で話しているぶんには変わらなくても、親がいつも使っている場所にちょっとした“違和感”があったら、些細な変化に気づいて冷静に対処できるようにしたいものです。

では、どういった場所に注目したらいいのでしょうか。今回は3カ所に絞ってご紹介していきます。筆者がことごとく見逃した「母の認知症のサイン」のエピソードも交えながらお話ししましょう。

【認知症の兆候が隠れる場所 その1】冷蔵庫

「冷蔵庫」は食生活や健康のバロメーター

【写真1枚目/全3枚】GWの帰省時にチェックしたい「親の認知症のサインが隠れる3つの場所」その筆頭が冷蔵庫

まずは「冷蔵庫」。以下のような状態が当てはまっていたら要注意。さりげなくチェックしてみましょう。

  • 賞味切れの食品がたくさんある。数日過ぎたものだけでなく、数か月過ぎてしまったような傷んだものも入れっぱなしになっている。
  • 不適切な方法で保存されている、本来冷凍庫に入れるべき冷凍食品が冷蔵されていたり、ラップや蓋がされておらず干からびていたりする。
  • 明らかに食品のバランスが偏っている。たとえば、牛乳ばかり5〜6本、なぜか生姜が10袋も入っているなど。

単なるモノ忘れのレベルとして済ませるにはちょっとおかしい、と感じるような変化があった場合、それは親が毎日の献立を考えるのに支障をきたしていたり、味覚や食欲が低下していたりするサインかもしれません。

ふだんきちんとした食生活ができているのか、栄養バランスが偏っていないか、気をつけて見てみてください。

【認知症のサインが隠れる場所 その2】お風呂場

「お風呂場」で気づける、衛生面や健康面以外の”兆候”

「お風呂場」で気づける、衛生面や健康面以外の”兆候”

実際に顔を合わせた親がパッと見は小綺麗にしていたとしても、長時間一緒にいて衛生状態が気になる、ということがあるかもしれません。

そこで清潔に日々暮らせているか、チェックしておきたいのがお風呂場です。

  • キレイに掃除ができていない。もしくは最近お風呂場を使ったような形跡がない。
  • シャンプーやボディソープ、石鹸などの買い置きが全く減っていない。
  • 「面倒くさい」「疲れている」などと言ってお風呂に入りたがらない。

日々の汚れを落とし、疲れを癒やす、本来はリラックスできて気持ちいいはずの入浴が億劫になってしまっていることも、認知症の兆しかもしれません。

嗅覚が衰え自分の体臭に気づけない、一人で入浴することが怖い、などの原因で次第に入浴頻度が減っている場合もあります。

一方で、入浴頻度は落ちているのに、シャンプーやトリートメントは使い切れないほど大量にストックされている、という不自然な兆候から「もしや認知症?」と気づいた我が家のようなケースもあります。

おかしいと思ったら、主治医やケアマネージャーさんに相談したり、訪問入浴介助のサービスを検討したりするとよいでしょう。

【認知症の兆候が隠れる場所 その3】たんす・クローゼット

「たんす・クローゼット」に意外なものをしまいこんでいたら要注意

「たんす・クローゼット」に意外なものをしまいこんでいたら要注意。筆者の母は「薬やお金」を隠していました。

いくら親子とはいえ、衣服などを収納している場所を勝手に開けたり片づけたりすることは躊躇しますよね。でも、ここも気をつけてほしい場所です。以下のポイントをチェックしてみてください。

  • 整理整頓ができておらず、シミがついたり虫食いしたりした衣類も捨てられていない。
  • 衣替えをした形跡がない。夏用の薄いシャツと厚手の毛糸のセーターが混在してしまわれている。
  • 衣類とは全く関係ない“謎の日用品”などが隠されている。

親が几帳面な人であれば、ごちゃごちゃになった収納を見て、何かおかしいとすぐ変化に気づけるかもしれません。

筆者の母の場合、嫁入り道具として持たされた和ダンスに思い出の着物などを大切にしまっていましたが、ふとしたきっかけで数年前に処方された母の薬や、一万円札が「それなりに」入った財布が発見されました。

「こんなところに隠していたのか……」そのとき筆者の中で点と点が繋がったのでした。

「そういえば、季節にそぐわない格好をしていたり(※1)、『薬がなくなった、モノを盗られた』といった発言(※2)が頻発して家族は辟易していたなぁ……」と。

原因がわからなくてお互い疲弊しないように、収納がきちんとできているか、中にあるものを把握できているか、確認しておきましょう。

ちょうど今の時期は衣替えの季節。「せっかくだし服の入れ替えを手伝うよ」などと声をかけて、さりげなくチェックしてみるのも良いでしょう。

※1 見当識障害:いまの場所や時間、季節が分からなくなること
※2 物盗られ妄想:大切なものをどこかにしまったことを忘れたり、紛失してしまったことを自覚できず「誰かに盗まれた」と妄想してしまうこと

その「小さな違和感」が、早期発見に繋がるかもしれません

いつもよりのんびり時間がとれるゴールデンウイークだからこそ、実家に帰ったらここまで挙げた「3つの場所」をぜひさりげなく確認してみましょう。

認知症のサインはつい見逃してしまいがちですが、少しでも早く発見することが大切です。後悔しないためにも、「いつもと違うな」「昔はこうじゃなかったはず」などと親に対して違和感を覚えたら、気のせいだとやりすごさず、注意して様子をみてあげてください。

認知症の症状や進行状況はひとそれぞれですが、早期に発見することで、適切な医療や介護に繋げることができます。親子ともども、今後ともできるだけ健やかに穏やかに暮らせるよう、貴重なお休みであるGWの時間をぜひ活用してくださいね。

参考資料

  • 厚生労働省「認知症ケア法-認知症の理解」

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