ウズラの卵は鶏卵と何が違う? 柄がある理由とは 栄養士が解説

鶏卵(左)とウズラの卵(写真はイメージ)【写真:写真AC】

中華丼の具材などに使われるウズラの卵。鶏卵と比べると、料理の主役になることは少ないかもしれません。しかし、小さい卵にもかかわらず、ウズラの栄養価は鶏卵よりも高いといわれています。日本養鶉(ようじゅん)協会が制定した5月5日の「うずらの日」にちなみ、知っているようで知らないウズラの卵について、栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。

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ウズラの卵の殻の柄 一羽ごとに違う

ウズラは、明治時代に日本で品種改良されて世界に広まり、フランス料理などで珍重される食材です。日本では卵のほうになじみがあり、中華丼の具材やフライなどで親しまれています。

ウズラの卵の殻には、独特の柄が入っています。これは、卵を草むらの根元に産む性質がウズラにあり、カモフラージュとして外敵から卵を守るため。殻の柄は、ウズラ一羽ごとに異なるといわれています。

殻の成分は炭酸カルシウムで、表面についている白っぽい粉のようなものは、たんぱく質を主成分とするクチクラといい、細菌の侵入を防ぐためのものです。

小さいながらも栄養豊富なウズラの卵(写真はイメージ)【写真:写真AC】

ウズラの卵の栄養とは

ウズラは小さいながらも、さまざまな栄養素が含まれています。脂質をはじめ、骨の成分であるカルシウム、余分な水分や塩分を排出するカリウム、貧血予防の鉄、皮膚炎や味覚障害に有効な亜鉛などのミネラル、目や皮膚や粘膜を丈夫にして免疫機能を高めるといわれるビタミンA(レチノール)やビタミンB群、とくに造血のビタミンといわれるビタミンB12と葉酸などです。

含まれる栄養素は鶏卵と似ていますが、100グラムあたりの含有量は全体的にウズラの卵のほうが多く、栄養価も高いです。日本食品標準成分表2020年版(八訂)をもとに100グラム(可食部、鶏卵Mサイズ2個分、ウズラの卵8個が目安)あたりで比較してみましょう。

ウズラの卵と鶏卵 脂質やミネラルを比較

○脂質
鶏卵 10.2グラム
ウズラ卵 13.1グラム

○カルシウム
鶏卵 46ミリグラム
ウズラ卵 60ミリグラム

○カリウム
鶏卵 130ミリグラム
ウズラ卵 150ミリグラム

○鉄
鶏卵 1.5ミリグラム
ウズラ卵 3.1ミリグラム

○亜鉛
鶏卵 1.1ミリグラム
ウズラ卵 1.8ミリグラム

ウズラの卵と鶏卵 ビタミン類を比較

○ビタミンA(レチノール)
鶏卵 210マイクログラム
ウズラ卵 350マイクログラム

○ビタミンB12
鶏卵 1.1マイクログラム
ウズラ卵 4.7マイクログラム

○葉酸
鶏卵 49マイクログラム
ウズラ卵 91マイクログラム

このように栄養価が高いウズラの卵ですが、鶏卵と同じく、ビタミンCと食物繊維が含まれていません。栄養バランスを整えるためには、果物や野菜、キノコ類や海藻類と一緒に食べると良いでしょう。

ウズラの卵 ゆで方は鶏卵と一緒?

ウズラの卵のゆで方は、基本的に鶏卵と同じです。鍋にウズラの卵と、卵がかぶるくらいの水を入れて火にかけます。沸騰した湯からゆでるのではなく、水から火にかけると卵白のへこみが目立たずに仕上がるでしょう。

卵黄の偏りを防ぐために、鶏卵と同じように水が温まり始めたころから沸騰するまで、菜箸で卵を転がすように軽くかき混ぜます。半熟なら1分、やわらかめなら2分、固ゆでなら3分ほどを目安にしてください。

鶏卵に比べて、卵殻膜がしっかりしていてサイズも小さいウズラは、殻をむきにくく感じるかもしれません。ゆでたあとは冷水に浸し、熱を取るのがコツです。卵白が引き締まって殻をむきやすくなります。丸みがある側から、膜ごとゆっくりと切れないようにむいていくときれいに仕上がるでしょう。あるいは、新しい卵ではなくやや古い卵を使うと、炭酸ガスが抜けているため、卵と殻の間に隙間ができていてむきやすくなります。

和漢 歩実(わかん・ゆみ)
栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。

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