除雪の3割「改善可」/ITSクラブ 青森市の実績分析/作業効率化へ 今冬システム提供

 情報通信技術(ICT)を活用し、除雪の必要性などを判断するシステムの実用化を目指しているNPO法人・青森ITSクラブ(青森市)が、2023年度冬季に実施した実証実験結果をまとめた。システムによる除雪判断と、青森市の除雪実績や実際の道路状況を比較した結果、市の除雪作業の3割程度が改善可能と分析した。除雪の効率化や質の向上を実現できるとし、12月から自治体へのシステム提供を目標とする。

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 実証実験は青森市の協力を得て実施。市の企業「日本ITSスタートアップ.inc」がシステムを開発し、技術提供した。市の除雪パトロール車に設置したスマートフォンで路面の凹凸を測定し、降雪・積雪や渋滞、路線バスの遅れなど複数の情報を組み合わせ、同システムが除雪の必要性を判断した。

 23年12月~24年1月の16日間で、市内全域の市管理幹線道路延べ1203路線を対象に、システムで除雪の必要性があるかどうかを分析し、市の除雪実績と比較。データが少なく、システムで判別ができなかった112路線を除く1091路線を検証した。

 システムの分析結果と市の除雪実績で、除雪の必要性の判断が合致したのは774路線(71%)、異なっていたのは317路線(29%)だった。両者の判断に相違があった路線について、同NPOが実際の路面状況を調べると▽悪路だが、市から除雪の指令がなかった▽前の日に除雪済みで、路面状況が悪くない場所に続けて除雪が入った▽除雪後も路面の凹凸が残っていた-などの事例を確認できた。

 システムは特許を取得済み。システム活用で効率的な除雪作業や作業の質の客観的な評価、作業レベル向上などが期待できるという。

 同NPOの葛西章史常務理事(56)は「システムの路面状況を把握する精度が高いと確認できた。市の判断との相違点は、実際の除雪作業を改善できるポイント。DX(デジタルトランスフォーメーション)を取り入れた『スマート除雪』として県内の自治体、全国へと広げていく」と語った。
 

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