あと3年で60歳、定年退職となります。シニア世代で投資している人が結構いると聞き、生活費に不安もあるので始めてみたいと思いますが、年齢的に遅すぎますか?

60歳から投資を始めても遅くない

一般社団法人投資信託協会の「60歳代以上の投資信託等に関するアンケート調査報告書-2021年(令和3年)」によれば、60歳以上の人のうち、「現在投資をしている」と回答した割合は36.4%でした。また、老後の資産形成を開始した年齢に関して、60代から始めたと回答した人の割合は7.1%でした。

同様に、マネックス証券の「資産運用に関する調査」でも、60代から資産運用を開始したと回答した人の割合は5%でした。

50代以下と比較すると割合は低いですが、それでも一定数の方が60代から投資を始めていることが分かります。

投資はできるだけ早く始めるべきだと言われています。しかし、「人生100年時代」とも称される現代において、60代から始めても遅すぎるとは言えません。

老後の生活費は赤字の可能性

総務省統計局の「令和4年 家計調査年報(家計収支編)」によると、65歳以上の夫婦世帯の月の収支は、図表1のとおりです。

【図表1】

※総務省統計局「令和4年 家計調査年報(家計収支編)」を参考に筆者が作成

月の収支は2万2271円の赤字です。1年間で26万7252円もの赤字となり、その赤字分を他の収入や貯金などから補わなくてはなりません。世帯によっては、さらに赤字が大きくなる可能性もあります。

しかし、60歳から投資を始めることで、収入が増え、家計に余裕が生まれる可能性があります。

60歳で投資を始める際のポイント

60歳で投資を始める際は、余裕資金を使い、ハイリスク・ハイリターンの商品は避け、分散投資を心掛けることが重要です。これらのポイントを考慮して投資に取り組むことで、安全性が高まり、老後の破綻リスクや投資の損失リスクを軽減できます。

本項では、60歳で投資を始める際のポイントについて詳しく見ていきましょう。

余裕資金を使う

投資には、余裕資金を使うことが重要です。なぜなら、投資には損失のリスクが伴うからです。また、60歳以降は収入が限られ、以前と比べて家計に余裕がなくなる可能性があります。

そのような状況下で生活資金を投資に使ってしまうと、生活に大きな支障をきたす恐れがあります。投資には余裕資金を使い、生活資金を投じないように注意しましょう。

ハイリスク・ハイリターンの商品は避ける

60歳から投資を始める際には、ハイリスク・ハイリターンの商品は避けることをおすすめします。ハイリスク・ハイリターンの商品は、短期間で大損するリスクがあります。また、ギャンブル性が高い傾向があり、利益を得ることが難しいためです。

例えば、仮想通貨やFX、先物取引などは避けたほうがよいでしょう。

分散投資を心掛ける

60歳からの投資では、分散投資を重視しましょう。分散投資とは、投資先を1つに限定せず、複数に分散することです。これにより、資産全体での下落リスクを軽減できます。

例えば、「国内株と債券に投資する」「国内株のセクターを分散させる」「投資信託で運用する」などの方法で分散投資が可能です。

投資は60歳からスタートしても問題なし。リスク管理を意識しながら始めよう

投資は60歳から始めても遅くはありません。老後資金が想定以上に必要になる可能性も考えられるため、備えは重要です。新NISAを利用すれば、運用益が非課税になるメリットもあります。

ただし、60歳から投資をスタートする場合、余裕資金を使い、ハイリスク・ハイリターンの商品は避け、分散投資を重視することが大切です。早速、資産運用の準備を始めてみましょう。

出典

総務省統計局 令和4年 家計調査年報(家計収支編)
一般社団法人投資信託協会 60歳代以上の投資信託等に関するアンケート調査報告書-2021年(令和3年)
マネックス証券株式会社 資産運用に関する調査

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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