ソフトバンクが「関大のドクター0左腕」を視察 同大から15奪三振のドラ1候補にスカウト部長「今すぐ先発ローテでやっていける」

同大戦で11回を15奪三振の快投を見せた関大・金丸

ソフトバンクの永井智浩・編成育成本部長兼スカウト部部長が5日、「関大のドクター0左腕」を今秋のドラフト1位候補の最右翼として、今後の徹底マークを継続していくことを明言した。

大学野球の関西学生リーグ、関大―同大の1回戦がほっともっとフィールド神戸であり、永井部長は3月の欧州代表との強化試合で侍ジャパンに選出された関大の金丸夢斗投手(21)を視察。延長11回を4安打無失点、15奪三振の圧巻の投球を「今すぐ、先発ローテーションに入ってきてもやっていけますよ」と大絶賛した。

同じく3月の侍ジャパンに選出されていた明大の宗山塁遊撃手(21)、愛工大の右腕・中村優斗投手(21)との比較、さらにはチーム事情を踏まえた上で「金丸君に関しては、指名するか、しないのかを考えるだけのことでしょうね。指名するなら、間違いなく他球団との競合になりますから」と今秋の補強戦略における〝中核的存在〟になるという見通しも明かした。

とにかく金丸は、大学生の中ではもはや頭一つ、いや二つは抜けた、段違いの実力の持ち主だ。「ロースコアになると思っていたので、あとに余力を残していました。序盤は、リリースだけをしっかりと(指にボールを)かけるように」と自己の認識では「7割くらい」という安定重視のピッチングながら1回から149キロをマークし、序盤の3イニングだけで4連続を含む6奪三振、9回までは同大に三塁すら踏ませなかった。

延長突入後の10回、味方の失策が絡んで1死三塁とサヨナラのピンチを迎えながら「きょうのストレートの質的には、バントも結構難しいと思っていたので、外さずにそのまま真っすぐを投げて、ミスを誘おうと思って投げました」。カウント1―1から右打者のひざ元へ143キロのストレートを投げ込み、相手のスクイズを空振りさせてピンチを断つと、その直後に打球が右足首を直撃。一度はベンチに下がるアクシデントもあったが「冷やして、ちょっと休憩しました」と冷静。続投した11回も2三振を奪うなど、11回で15奪三振まで積み上げた。

カーブ、スライダー、チェンジアップ、さらにスプリットと球種も豊富で「どれを取ってもコントロールが素晴らしい。捕手がミットを構えたところにびたびた来る。どの球ももう一級品です」と永井部長。比較の対象として挙げたのは、同じ左腕で43歳のソフトバンク和田毅で「ウチの和田は、コントロールに関しては案外とアバウトで、球の切れで勝負するタイプなんですけど、金丸君はコントロールが抜群」と〝和田以上の制球力〟と表現。さらに競合で西武に取られたものの、昨秋のドラフトでソフトバンクも1位入札した武内夏暉(22)=国学院大=とも比較し「去年の武内君もよかったんですけど、金丸君の方がさらにコントロールがいい」。その言葉の裏付けは、はじき出された数字が証明している。

今春リーグ戦で、金丸はこの日が4試合目のマウンドになるが、これで31イニングを投げ被安打11、奪三振39もさることながら、特筆すべきは四球0。死球を含めても、与四死球はわずか1。先月6日の京大戦で味方の失策が絡んでの1失点を喫してはいるが、自責点は0。つまり、防御率は「0・00」だ。

「制球力は、ホントに自分の武器なんで、きょうも普段通りに投げることができました。後半にピンチが来ると思っていたので、そのための序盤は力を抜いて後半にしっかりとギアを上げていくということを意識していました。(自責0は)自分の持ち味が出ているんで、そこはいい傾向だなと思います」

そう語る金丸は、リーグ優勝とその先につながる全日本大学選手権での日本一もにらみ「個人的には大事な年。さらに成長できるよう、自分の持ち味をしっかりと伸ばしていきたい」と抱負。驚異の制球力で、どれだけの「0」と「奪三振」を積み上げるのか。この日もネット裏には8球団のスカウトが集結。ソフトバンクのドラフト戦略も左右する〝関西の精密機械〟の今後には、それこそ目が離せなくなってきた。

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