「購入? 賃貸? 家とお金【後編】」お金の教科書Vol.43 #お金の基本

購入? 賃貸? 家とお金【後編】

石岡 茜(いしおか・あかね)さん ことり不動産代表。女性ならではの視点と“幸せな家選び”をモットーに、物件選びをサポート。著書に『持ち家女子はじめます 人生に「いいこと」が起こるおうちの買い方』(飛鳥新社)が。

貯蓄未知子(ちょちく・みちこ/34歳・会社員) 都内の賃貸で一人暮らし中。毎月の貯蓄は財形2万円+口座に残った分のみ。奨学金は完済。家を買うべきか悩み中。

家を買う前にまず考えるべきことは?

未知子:前回お話を伺って、家を持つことに俄然興味が湧いてきました! でも、実際に買うとなると、わからないことだらけで…。

石岡:そうですよね。

未知子:戸建てよりマンション購入が現実的かなと思っているんですが、アリでしょうか?

石岡:都市部で働く単身女性の場合、現実的なのはマンションだと思います。今回は主にマンション購入のイロハを紹介しますね。

未知子:お願いします!

石岡:まずは、なぜ家を買いたいのか、改めて自分に問いかけてみて。その家でどのくらいの期間、どんな暮らしを送りたいかイメージすると、住みたい街や間取りなどが明確になってくると思います。

未知子:私は会社へのアクセスがよくて、料理がしやすいキッチンがある家がいいな。それからリビングと寝室は分けたいです!

避けては通れない、家にまつわるお金の話。

石岡:希望の条件がクリアになったら、予算を決めましょう。

未知子:一体いくらの家なら買えるのか、気になってました!

石岡:銀行から借りられる住宅ローンは、年収の7~8倍が目安。頭金を入れることができる場合は別ですが、借入可能額=購入可能額ということになります。

未知子:なるほど。

石岡:マンションの場合、ローンのほかにも維持費として管理費や修繕積立金が毎月発生することを忘れずに。また、購入時に銀行などに支払う手数料や諸費用として物件価格の5~7%かかります。

未知子:物件価格以外にもいろいろ必要ですね!(驚) ところでローンには審査があるんですよね?

石岡:はい。主に人物と物件の2つの視点で審査されます。

未知子:ぐ、具体的には…?

石岡:まず人物面では、年収や資産状況だけでなくローン申込時の年齢や勤務先、勤続年数など。またクレジットカードなどの滞納履歴がないかもチェックされます。

未知子:ふむふむ…。

石岡:物件面では、本人の居住用かどうか、築年数、面積など物件自体に価値があるかも重要ですね。物件の資産性が高いと、後々売却したり賃貸にして家賃収入を得ることもできるので、ライフスタイルの変化が大きい単身女性には重視してもらいたい項目です。

未知子:何かあったときに頼りになる家って、心強いです!

石岡:暮らしが充実し、安心できる場所が手に入るのが持ち家のいいところ。人生のひとつの選択肢として検討してみてください。

購入を検討する際のポイントをチェック!

・家を買いたい理由を明確にする
一生住む家なのか、将来的に住み替えも視野に入れるのかなどにより、選ぶべき物件には大きな違いが。「買いたい理由によってエリアや沿線だけでなく、間取りなども変わってくるはず。長期的な視点で考えると、理想の物件が見えてくると思います」

・予算について考える
銀行の住宅ローンの仮審査に出してみると、購入可能な金額を把握できて予算の目安に。「物件価格の5~7%相当の諸費用は自己資金として用意しておくのがベター。またマンションだとローン以外にも毎月、管理費や修繕積立金が必要になります」

・住宅ローンについて知る
ローンを借りられる額と無理なく支払いできる額は異なる。「年間返済額は年収の25~35%を目安にするのがおすすめ。また、現在の収入がずっと続くわけではないことを念頭に置いて、ローンを完済する年齢についても想定しておきたいものです」

・資産性がある物件を選ぶ
人生のさまざまな局面に対応できる物件選びを意識したい。「賃貸に出しやすい家だと、何かあった際でも安心。マンションの場合、資産性と関連が深いのが、物件の修繕積立金と耐震基準がどうなっているか。そのほか立地や広さなども大切です」

事前に知っておくことで理想の物件に出合ったあとの行動がスムーズに。
理想の住まいの条件や、そのために必要なお金のことは、いま家を買う予定がなくても知っておいて損はなし!

次回は、2398号(5月22日発売)掲載予定です!

※『anan』2024年5月8日‐15日合併号より。イラスト・小迎裕美子 取材、文・宮尾仁美

(by anan編集部)

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