【中国】農民工の増加率1%割れ、東部離れ進む[経済]

中国国家統計局は4月30日、「農民工」と呼ばれる農村部出身の出稼ぎ労働者が2023年末時点で2億9,753万人になったと発表した。増加率は0.6%(191万人)にとどまり、1%を割り込んだ。東部の都市を目指す人が減少している。

農民工の増加率は、18年(0.6%増)と19年(0.8%増)にも1%を割り込み、新型コロナウイルス禍に見舞われた20年には1.8%減と、統計を確認できる08年以降で初めて減少していた。

23年の内訳を見ると、戸籍地の農村部で農業以外に従事する農民工は2.2%減の1億2,905万人だった。戸籍地の外へ働きに出る農民工は2.7%増の1億7,658万人と増えてはいるが、このうち都市部への出稼ぎ者は1億2,816万人と3.3%(440万人)減少している。

戸籍地の外へ働きに出る農民工のうち、同じ省・自治区・直轄市(以下、省区市)内で就業する人は7.7%増の1億907万人だった。一方、省区市外での就業者は4.4%減の6,751万人となり、近隣地で働く人が増えている。

農民工の就業地域は、最大の受け入れ先である東部が1億5,277万人で1.1%(170万人)減少した。労働集約型産業の内陸移転や農民工の大都市敬遠が背景にある。中部は3.1%増の6,982万人、西部も1.8%増の6,552万人となった。東北は3.4%増の872万人。

農民工が従事する産業は、第3次産業が全体の53.8%を占め、比率は前年から2.1ポイント拡大した。第2次産業は45.5%で、比率は2.3ポイント縮小。第2次産業に属する「建築業」が全体に占める比率は2.3ポイント縮小の15.4%。主要6業種の中で唯一比率が縮小した。

農民工の就業比率は18年に第3次産業が第2次産業を上回った。工場の従業員や建設現場の作業員などから、出前配達員などサービス業の職業に転職する人が増えているとみられる。

■高齢化が加速

農民工の平均月収は3.6%増の4,780元(約10万3,500円)だった。増収幅は22年(4.1%増)から鈍化した。

業種別では、「建築業」が5,488元で最も多い。増収幅は「卸売・小売業」の5.1%が最大となった。

農民工の平均年齢は43.1歳で、前年から0.8歳上昇した。平均年齢は18年に40歳を超え、その後は高齢化が進んでいる。年齢構成を見ると、40歳以下は全体の44.6%で前年から2.4ポイント縮小。一方で、50歳以上は30.6%と3割を突破した。

男女比は62.7対37.3で、女性の比率は前年から0.7ポイント拡大した。未婚者と既婚者の比率は14.6対81.4となっている。

調査は全国31省区市の1,730県(区)、8,613の小区(集合住宅)での訪問調査で得られたデータを基にしている。

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