【ミャンマー】通貨安で燃油高止まり、賃金に労働者不満[経済]

軍事政権下のミャンマーで、現地通貨チャット安の進行が物価高を引き起こしている。実勢相場は先週、1米ドル(約153円)=3,900チャット台で推移。燃油価格は先週末に若干下がったが、過去最高値水準が続く。メーデーの1日には労働組合が最低賃金の倍増を求めたが、軍政は黙殺している。

情報サイトによると、チャットの実勢レートは先週、3,900チャット台後半まで下がり、3日時点で3,940チャットとなった。ミャンマー中央銀行は、チャットと物価の安定化に向け、市中銀の預金残高に対する中銀当座預金の最低金額の比率を3日から引き上げたが効果は薄い。

中銀は、市中の両替商に対する取り締まりの強化や、昨年12月に「自由化」を発表した国内企業間のオンライン取引レートを3,300チャット台前半に誘導するなどチャット安対策を講じているが、為替管理が機能不全に陥っている。

公定レートは1米ドル=2,100チャットで固定し続けており、実勢レートとの乖離(かいり)幅が広がっている。

軍政は物価の安定化を狙い価格統制も実施している。最大都市ヤンゴンで販売される燃油価格は、3日から◇レギュラーガソリン「RON92」(オクタン価92)=前日比0.4%安の1リットル2,835チャット◇ハイオク「RON95」(オクタン価95)=0.5%安の2,945チャット◇軽油=0.4%安の2,400チャット◇プレミアム軽油=0.4%安の2,450チャット——となった。

チャット安や燃油高が食品や日用品などの価格も押し上げる一方、労働者の賃金は上がらない。ミャンマー連帯労働組合(STUM)は1日、2018年から日給4,800チャットに据え置かれている法定最低賃金を1万チャットに引き上げる要求を出したが、軍政は一切回答していない。

現行の最低賃金を実勢レートで米ドル換算すると日額1米ドル強にとどまる。労働者が不満を強める中、軍政は紛争激化に対応するために徴兵制を実施。1日からは、男性が海外で働くために必要な手続きの一部を一時停止しており、波紋が広がっている。

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