晴れ舞台に会心演技 小松・こども歌舞伎まつり千秋楽 お旅まつりの役者も観賞

千秋楽の舞台で勧進帳を熱演する子供役者=県小松市團十郎芸術劇場うらら

 第25回日本こども歌舞伎まつりin小松(北國新聞社特別協力)は5日、県小松市團十郎芸術劇場うららで千秋楽を迎えた。小松の小中学生は約700人の観衆を前に、地元・安宅の関を舞台にした「勧進帳」で気迫のこもった会心の演技を見せ、晴れ舞台を締めくくった。10日に開幕するお旅まつりで曳山(ひきやま)子供歌舞伎を上演する子供役者も観賞し、本番へ意欲を高めた。

 勧進帳の主役級「三役」のうち義経は今回、ダブルキャストで、初日と千秋楽で役者が交代した。初日に後見を務めた中谷将隆さん(松陽中1年)が千秋楽の舞台に立ち、金剛杖(こんごうづえ)で打ち据えられながらも弁慶を許す見せ場を演じた。

 中谷さんは「全力を出し切り、柔らかい動きで演技ができた」と振り返り、来年以降のまつりには鼓で携わる意欲を示した。弁慶を演じた松本莉子さん(南部中1年)は「みんなで協力してできた舞台で、お客さんにも楽しんでもらえたと思う」、富樫役の釣川依沙さん(松東みどり学園7年)は「ずっとやりたかった役で、なんとかやりきり楽しかった」と達成感をにじませた。

 お旅まつりの当番町である西町と、八町こども歌舞伎の子供役者も観覧に訪れた。

 八町の5人は、同じ「勧進帳」を義太夫仕立てにした演目を曳山の上で繰り広げる。弁慶役の村井美智乃さん(丸内中1年)は「表情や動きが勉強になった。自分も印象に残るような弁慶を演じたい」と意気込んだ。富樫役の岡田陽向(ひなた)さん(丸内中1年)は「すごく上手な芝居だった。自分も気持ちを入れて演技したい」と力を込めた。

 あいさつした宮橋勝栄市長は、5月下旬に千葉県成田市で行われる「成田伝統芸能まつり春の陣」に、西町の子供役者が出演することを紹介した。

 特別ゲストの歌舞伎俳優、二代目市川右近さんは歌舞伎舞踊・長唄「供奴(ともやっこ)」を素踊りで披露し、トークショーで小松のご当地グルメ「塩焼きそば」がおいしかったと笑顔で語った。

 岐阜県の東濃歌舞伎中津川保存会は「御所桜堀川(ごしょざくらほりかわ)夜討(ようち) 弁慶上使(じょうし)の場」、東京と大分県の子どもたちでつくる「すずめの会」は日本舞踊・長唄「桜絵巻」を繰り広げた。

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