「まんがのまち」氷見に活気 まんがワールドまつり最終日

藤子Ⓐさん生誕90周年を祝って製作された大漁旗の前で、子どもたちと記念撮影する法被姿の林市長=氷見市のひみ番屋街

 氷見市の藤子不二雄Ⓐまんがワールドまつりの最終日は5日、同市中心部で行われた。藤子Ⓐさん(元富山新聞記者)の生誕90周年を記念した大漁旗がお披露目され、各所で人気作品にちなんだイベントが繰り広げられた。連休を利用して富山、石川を中心に全国各地から大勢の家族連れらが訪れ、「まんがのまち」は震災に負けず活気づいた。

  ●記念の大漁旗お披露目 市が特別製作「魅力体感を」

 藤子Ⓐさんの生誕90周年を祝い、市が特別製作した大漁旗は代表作「忍者ハットリくん」や市のマスコットキャラクター「ひみぼうずくん」が描かれた「魚のまち・氷見」らしいデザインとなった。縦1.8メートル、横2.4メートルで、藤子Ⓐさんのふるさと、氷見の代表的な風景である立山連峰と唐島が背景に描かれている。今後、市が主催するイベントなどで活用される。

 ひみ番屋街で行われた式典で、林正之市長は5月5日がハットリくんの誕生日であることを紹介した。市中心部にハットリくんら藤子Ⓐさんゆかりのキャラクターモニュメント65体を設置するなど、作品を生かしたまちづくりに取り組んでいることを説明した。

 その上で「先生のまんがの魅力にあふれたまちづくりを進め、作品の世界観を体験できる場となるよう努める。これからも何度も氷見を訪れ、楽しんでほしい」と語り、大きな被害を受けた能登半島地震からの一日も早い復興を誓った。

 林市長は「ひみぼうずくん」とともに来場者との記念撮影に応じ、藤子Ⓐさんの作品の魅力を伝えた。

 七尾市から家族で訪れた山崎瑞希さんは「色鮮やかで一度見たら忘れられないデザイン。ブリを持った『ひみぼうずくん』もいて氷見ならではの大漁旗だと思う」と話し、長男弘朔(こうさく)ちゃん(3)と、次男稜真(いっしん)ちゃん(2)は林市長と一緒に写真に納まった。

  ●生家でゆかりの品公開 光禅寺机や「喪黒だるま」

 藤子Ⓐさんの生家・光禅寺ではゆかりの品が公開され、多くの観光客らが普段は見られない貴重な作品などに目を凝らし、氷見が生んだ漫画界の巨匠に思いをはせた。

 寺の庫裏には漫画家手塚治虫さんが東京・豊島のトキワ荘14号室で愛用し、藤子Ⓐさんが譲り受けた机をはじめ、藤子Ⓐさんが描いた「喪黒だるま」のついたてや、怪物くんのイラスト、歌舞伎絵、トキワ荘から生家に送られたはがきなどが展示された。床の間には遺作で忍者ハットリくんの仏画と「南無帰依佛」と記された掛け軸が掲げられ、来場者が見入った。

 長野県上田市から夫と訪れた柳町章子さん(65)は「直筆の躍動感あふれるタッチで生き生きとした原画が見られた。生まれた頃の話も新たに知ることができて興味深かった」と話した。

  ●的当てゲーム新登場

 家族連れらが新登場の的当てゲーム「忍者ハットリくん 竹水鉄砲で忍びの道具を入手するでござるの巻」や、「笑ゥせぇるすまん」の「ドーン・ドン大会」で大声を出して楽しむ光景も広がった。

  ●潮風ギャラリーに今年最多の386人

 まつりの拠点となった潮風ギャラリーには今年最多となる386人が来館した。午前10時の開館から家族連れらが続々と詰めかけ、忍者ハットリくんや怪物くんと触れ合えるキャラクターグリーティングなどを楽しんだ。今年最多だった4日の363人を更新した。

 中央町のプロゴルファー猿ポケットパークではパターゲームが開かれ、観光客が楽しんだ。市街地でスタンプラリーが行われ、多くの観光客がポイントを訪ね歩いた。人力車が無料で市街地を走り、中心商店街では「百縁笑店街」が開かれた。

ハットリくんと怪物くんと記念撮影を楽しむ来場者=氷見市の潮風ギャラリー
パターゲームを楽しむ来場者=氷見市中央町のプロゴルファー猿ポケットパーク

© 株式会社北國新聞社