風力発電計画の進展にばらつき…福井県内4計画が中止、抜本的見直しや地元の強い反対も

県内の風力発電所計画

 福井県内で近年相次ぎ持ち上がった陸上風力発電計画の進展に、ばらつきが出始めている。福井市の国見岳北側で二枚田風力発電所(最大出力5万キロワット)の建設工事が始まった一方、コストや風況不足などを理由に4計画が中止となった。現在6計画が環境影響評価(アセスメント)の手続き中だが、国から抜本的な見直しを求められたり、地元から強く反対されたりしている計画もある。

 県内では2018~22年に、事業者が11カ所で計画を表明しアセスメントの手続きに入った。

 日本風力エネルギー(東京)が4月に着工した二枚田風力発電所は、国見岳(標高656メートル)北側に最大高さ約172メートルの風車を12基建設し、26年秋ごろの営業運転開始を目指す。最大出力5万キロワットの陸上風力は現時点で北陸最大級。

 国見岳の南側ではテラスエナジー(同)の計画もあり、アセスメントは4段階のうち3段階目の準備書段階に進んでいる。風車9基を建設する計画通りになれば、国見岳全体で計21基の規模となる。

 一方、福井市殿下、一光、安居地区などにまたがる山中で東京ガス(同)が計画した「福井金毘羅(こんぴら)風力発電事業」(風車14基)は23年6月、同社が中止を届け出た。同社によると、想定以上に土砂の崩壊対策や風車の破損防止といった安全対策が必要と判明。物価高騰も重なり事業環境が悪化し、「採算性の改善に至らず、やむなく中止を決めた」という。

 環境影響評価の手続き 4段階あり、環境保全のために配慮すべき事項をまとめる「配慮書」、調査方法などを示す「方法書」、調査結果を明らかにする「準備書」、準備書に対する意見を踏まえ内容を修正する「評価書」の順に進む。陸上風力発電計画の場合、一般的に手続きに4~5年かかり、設置工事に関する国の許認可後、さらに建設工事に数年かかる。  

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