自宅でうまく洗えるか? 「ダウン製品」意外な「速乾&ふんわり」のワザ「1枚と2個」とは

何年も使用しているダウンウェアとダウンシュラフ(撮影:深瀬あみ)

保温力が高く、軽さやふんわりした手触りが魅力のダウン製品。しかし、汗などの汚れを放置すると保温力が落ち、十分な性能を発揮できなくなる。

筆者が保有しているダウンシュラフやウェアも購入時より厚みがなくなり、保温効果も落ちたと感じるようになった。ダウン製品は自宅での洗濯が難しいように感じるが、実はポイントさえ押さえておけばハードルはそれほど高くないのはご存じだろうか。

今回は実際に筆者が自らのダウン製品を洗濯したときの様子をレポート。これからチャレンジしようと考えている方は、ぜひ参考にしてみてほしい。

今回はmont-bellのダウンシュラフ「ダウンハガ―650 #3」とダウンウェア(インナーとしても着られる薄手のもの)を一緒に洗濯。方法はmont-bell公式サイトを参考にした。なお、洗濯する際は必ずメーカーの洗濯方法を確認することを忘れずに。

■洗濯前に洗濯表示やキズをチェック

まず、手洗いできるかどうか洗濯表示を確認しよう。さらにダウン製品にキズがないか点検し、あれば事前に補修する。筆者所有アイテムの洗濯表示は、シュラフは「手洗い可」だったが、ウェアは「手洗い不可」だった。しかし、mont-bell公式サイトに “一部で洗濯絵表示が「ドライ」のものがありますが、手洗いいただいて問題ありません” と掲載されていたため、ウェアも手洗いすることにした。

ダウンシュラフの洗濯表示は手洗い可
ダウンウェアの洗濯表示は手洗い不可となっていた

確認が終わったら、生地を痛める恐れがあるためファスナーは閉めておこう。また、表地に撥水加工されている場合や、内側をしっかり洗いたいときは裏返すのを忘れずに。

●洗濯前の注意点

・洗濯表示やダウン製品をチェック ・ファスナーを閉めておく ・生地が撥水加工されている場合や、内側の汚れが気になるときは裏返しにする

■ダウン製品専用の洗剤で優しく押し洗い

洗剤は、ダウン製品専用のものを使おう。一般的な家庭用洗剤だとダウンの天然油分を奪ってしまい、保温性が落ちるためだ。ダウン製品と同じメーカーの洗剤を選ぶのが安心だと思い、今回は「O.D.メンテナンス ダウンクリーナー(税込1,430円)」を使用し洗濯した。

浴槽にぬるま湯75Lを溜め、そこにキャップ5杯分の洗剤を入れかき混ぜる。ダウンは空気を含んでおり、そのまま入れるとなかなか沈まない。軽くたたんでからぬるま湯につけ、空気を抜くように押しながら浸けていく。

ある程度シュラフやウェアが浸かったら、手や足で優しく押し洗いしよう。しばらくして汚れが出て水が濁ってきたら、浴槽の栓を抜き水を抜く。このとき、シュラフやウェアを絞るとダウンが傷むので、軽く巻くか、上から押さえるようにして水を切るのがおすすめ。

水を切り終えたら、再び浴槽に水を入れ、今度はすすいでいく。このときも洗ったとき同様に、優しく手や足で押さえながら行う。洗剤成分が残っていると、ダウンが膨らみにくくなるので、念のためすすぎは2回行った。

ダウンシュラフはタオルで挟んで脱水
ダウンウェアは洗濯機で30秒程脱水した

すすいだ後は、シュラフはタオルで上下を押さえながら、ウェアは洗濯機で30秒ほど回して脱水した。脱水後、シュラフは予想以上にコンパクトになり、持ち運びしやすくなった。

●洗濯時の注意点

・洗剤はダウン専用の洗剤を使う ・優しく押し洗いする ・すすぎは念入りにする ・脱水時は絞らない

■乾燥機は必ず低温に設定しよう

洗濯する前、ダウン製品を乾燥機で回してしまうと破れないか心配で、自然乾燥のみ行う予定だった。しかし、mont-bellで洗剤を購入するとき、スタッフの方に「自然乾燥してなかなか乾かない場合、臭いが発生することがあるので、最初に乾燥機を使って一気に乾かした方がよいと思います」とアドバイスされ、乾燥機を使うことにした。

乾燥時間はドラムの大きさや、脱水状態により変わってくる。注意点は洗うときと異なり、ファスナーは開けた状態にすること、さらに乾燥機の温度設定は生地やダウンを痛めないためにも、必ず低温にして様子を見ながら行おう。

自宅に乾燥機がないため、コインランドリーにシュラフとウェアを持ち込み、容量が「16kg」と表記された乾燥機に一緒に入れた。加えて「乾きやすくなりますよ」とスタッフの方におすすめされたバスタオルも1枚入れた。ちなみに、テニスボールを2個入れるとボールがダウンを叩き、ふんわりさせる効果があるそうだ。

乾燥機にコインを入れてスタートさせ、10分おきにシュラフとウェアの状態を確認。と同時に、ダウンがダマになり固まっているところを、手でそっとほぐす。ウェアは60分ぐらいで全体的にほぼ乾いたが、シュラフの方は表面の生地が乾く一方で、肝心のダウンはなかなか乾かなかった。

低温に設定し様子を見ながら乾燥

ウェアのみ取り出してさらに20分、シュラフは計80分間乾燥機にかけた。触ってみると、ダウンがダマになってるところが何か所もあり、まだじんわりと濡れているのがわかる。キリがなさそうなので、一旦持ち帰ることにした。正直に言うと「すすぎが足りなかった?」「失敗したのかも?」と、かなり不安な気持ちになった。

●乾燥機使用時の注意点

・ファスナーは開けておく ・温度設定は必ず低温にする ・ときどきダウンをほぐす

■一週間かけて室内で自然乾燥

濡れたダウン製品を自然乾燥させるときは、しっかり乾くようにできる限り平らにしよう。ウェアは乾いていたのでハンガーにかけ、シュラフは平らになるように椅子を使用して干した。表面の生地が劣化しないよう、直射日光が当たらない室内で乾燥させることも忘れずに。

シュラフのみ、ときどきダマになった部分をほぐし、優しく叩いたりもした。特に足元の袋状の部分は乾きが遅いと感じ、重点的に行った。

3日経つと、だんだんシュラフの中にあるダウンも乾いてきて、5日経つ頃には、洗濯前のシュラフよりふっくらし、完全に乾いたように感じた。さらに念を入れて2日干し、洗濯してから一週間後、何とか無事に洗濯を終えることができた。

●自然乾燥時の注意点

・しっかり乾いていない場合は、できるかぎり平らに置く ・直射日光が当たらない場所で乾燥

■費用と手間で判断して継続的にメンテナンスしよう

ダウン製品をクリーニング専門店に依頼した場合、料金はシュラフが4,000〜8,000円、ダウンは1,000円〜3,000円かかる。今回かかった費用は、洗剤代1,430円(洗剤の容量は300mlで、今回は75ml使用)、コインランドリー乾燥機代800円の合計2,230円だった。

手間と費用を相対的に判断すると、クリーニング店へ依頼した方がよいという人もいるだろう。しかし、一度経験してみると要領がわかり、自宅で洗濯することに抵抗がなくなり、実践してよかったと思う。今後もしっかりメンテナンスしながら大切にダウン製品を使っていきたい。

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