「光GENJI」元メンバーが明かす15歳年下の妻への感謝の念「食生活を玄米に変えたら、身も心もスッキリ」大沢樹生・55歳のリスタート

大沢樹生 撮影/佐賀章広

光GENJIのメンバーとして一世を風靡した大沢樹生さん。現在は俳優や歌手として活躍中だが、ここ数年、突如、東京・北区区長選に出馬するなど世間を賑わせた。出馬の真相や、その後に訪れた心身の変化、そして、55歳のいま、大沢さんが語るTHE CHANGEとは。【第5回/全5回】

取材前、ラップに包まれた小学生のこぶしほどの大きさのおにぎりを静かに頬張るのは、大沢樹生さんだ。ていねい、ぎゅ、ぎゅ、と握られたことがわかる、素朴な形。

「朝食はほぼ食べず、だいたいお昼に玄米のおにぎりをひとつ食べて、夜まで持ちます。これ? これは妻が握ってくれました。フレーバーはわかめです」

2022年11月に東京・北区区長選への出馬を明かすと、翌4月に不出馬を表明して当時の現職の支持に回るなど、話題を振りまいた。一連の出来事を真正面から真剣に受け止めてきたからこそ、すべてが終わったあと、それまでとはちがった徒労感が押し寄せ「居場所がない、宙ぶらりんな状態」になってしまった。

2023年12月にライブを開催し、ステージ復帰を果たすが、その直後から3月まで、「体が動かせないほど」のストレスに見舞われ自宅療養に努めた。

10代・20代はアイドルとして突っ走り、30代・40代も仕事に邁進した。そして50代、ようやく自分の心身を省みることができるようになった。

「ここ数年の疲れが体と心に出てしまったのではないでしょうか。ただ、救いだったのは、一昨年(選挙前)、キックボクシングをやっていた時期があってその余力のおかげで少しは動くことができたと思っています」

ーー自身のケアで、いちばん大事なことは?

「去年から食生活を相当変えました。妻の勧めでお米を玄米にしたり、極力添加物が入っているものを避けたり、すべて避けるのは不可能ですけど。間食は一切しなくなりました。そうすると、身体がスッキリしますよね。」

15歳年下の妻への感謝の念

大沢さんを支えるのは、2008年に結婚した15歳年下の妻。「しっかりしている人。安心して家庭を任せています」と、口調に感謝の念がにじみ出る。

4月20日で55歳になったばかりの大沢さんだが、今年は「リスタートの年」なのだと話す。

「とはいえ、常にリスタートの意識はありますが。リスタートって、何度でもしていいと思っているし。自分自身にとってのリスタートは、選挙の一件があり、仕事の自粛を経て、昨年末のライブをやって、いまも新しい気持ちで前に向かっています。やっぱり僕は、芸能の仕事をしていきたいと今回改めて思いました。ファンのみなさんを始めとするお客さんを、自分のパフォーマンスで楽しませて、ときには感動させて、メッセージを送っていけたらなと思っています」

ーー50代で新しくなにかをはじめることは、若い頃と比べるとちがったエネルギーが必要だと思います。

「そうですね。若いうちは勢いだけで行けましたが、この年になるとそうはいかない。まずは自分を大切にしながら、生涯現役でい続けようと思っています。ときには休憩も取りながら、自分を追い詰めず、自然体で行けたらなと」

自分を好きじゃないと前に進めない

自然体。いまの大沢さんにいちばんしっくりくる言葉だ。

「加齢も含め、人間は変化するものだと思うので、それを自然に受け入れていきます。変に格好つけずにいけたらなと」

ーーいまの自分の好きなところ、どんな部分ですか?

「ダメなところも含め、全部です。自分を好きじゃないと前に進めないし、もっともっと自分を好きになっていきたいと思っています。それに、50代になってから、人生は楽しい! と思って、一昨年まではイキイキしていました。一部の時期はたいへんでしたが、でも過去に戻りたいとは思わないです。現状をいかに充実させて楽しめるか、そんなことを常に思っています」

ーー大沢さんの“楽しい”、どんなことですか?

「子どもの成長や、地方に行って僕と会うだけですごく喜んでくださるとか、そういった些細な幸せを感じると、あらためて“すごくありがたいことだな”と実感するようになりましたね」

肩の力が抜けつつも、目の奥からは強い光を放たれている。55歳のリスタート、きっと充実するに違いない。

大沢樹生(おおさわ・みきお)
1969年4月20日生まれ、東京都出身。1982年にジャニーズ事務所に所属すると、1987年に光GENJIのメンバーとしてレコードデビュー。1994年に光GENJIを脱退。俳優やミュージシャンとして活動。2006年に自身の会社を設立し、映画制作業にも乗り出す。2022年11月に東京・北区区長選挙への出馬を表明するも、翌4月5日に不出馬を表明した。

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