伝統の和船競漕「せいぐろ」18チーム熱戦 豊漁と成長祈願 松浦・鷹島

スタートの合図で櫓をこぎだす選手たち=松浦市、阿翁浦港

 こどもの日の5日、長崎県松浦市鷹島町の阿翁浦(あおううら)港で和船競漕(きょうそう)「せいぐろ」があり、島民らの盛んな歓声でにぎわった。市無形民俗文化財の伝統行事で、木船のレースに中学生と一般の18チームが熱戦を繰り広げた。
 「せいぐろ」は鎌倉時代の元寇(げんこう)の際、元軍船に夜討ちをかけた名残という説や、豊漁と男子の健やかな成長を願い、漁師らが始めた説があるという。
 コースは、港内を往復する直線300メートル。折り返し地点とゴールに浮かぶ旗2本を取るまでのタイムを競った。木船に乗り組んだ10人前後の選手たちが、かけ声に合わせて四つの櫓(ろ)をこぎ進めた。
 全チームが練習なしで本番を迎えた中、スタート直後から左右に曲がり出す船も続出。司会の「(進む)向きを変えてください!」という呼びかけに観客の笑い声が響いた。
 選手宣誓をした市立鷹島中3年の板谷姫奈さん(14)は「思うように進めなくて大変だったけど、楽しかった」と話した。
 全レースの結果、漁協青年部が3分26秒で優勝。2位が阿翁浦地区9.10組、3位が同3.4・5組と続いた。

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