メインストーリー最終編「粛清編-後編-」は、ネルヴァが自らの力で復活させたベルフォメット、メイシア、ネクサス、タケツミを各世界へ送り込み、アリサたちがそれらと戦うというストーリー。かつての強敵が再び登場してくるのはかなりの胸熱展開だ。
1章から9章では、ネルヴァが4人を復活させた様子、イズニア国に攻めてきたベルフォメットと戦う様子が描かれていた。続く悲哀沈殿編と憤怒円環編はそれぞれ、ウェルサとレヴィールが舞台となっている。ウェルサは暗黒世界編で、レヴィールは運命相克編で舞台になった世界だ。
そんな懐かしい世界が舞台になっていることから、悲哀沈殿編ではセッカ、ドラーク、カゲロウ、アルザードたち4人組、憤怒円環編ではバニー、バロン、マイザー、セリーナの4人組がメインとなって登場する。
■4人が困難を乗り越えていく姿が最高にかっこいい悲哀沈殿編
悲哀沈殿編ではセッカ、ドラーク、カゲロウ、アルザードたち4人組が和気あいあいとした姿が描かれている。常に争っていた暗黒世界編とは違い、彼らが仲良くお酒を飲んだり、談笑したりしている姿がとても印象的なシーンだった。
しかし、そんな平和も束の間、ウェルサに嫌な雰囲気が漂い、かつての賑わいが失われつつあった。筆者が特に好きなシーンがこのとき4人で集まったときの会話。セッカがみんなの前に立ってウェルサの世界に住む街の人々に世話を焼くのがお節介かなと悩んでいると、ドラーク、カゲロウ、アルザードたちが「いや、構わないだろう」というセリフを3人同時に即答する。普段はおちゃらけている男性陣がセッカの悩みを吹き飛ばすという感慨深いシーンだ。
この後、セッカはみんなの元気を取り戻すため奮闘するのだが、そこにネルヴァの力で復活したメイシアが現れる。この嫌な雰囲気の元凶はメイシアだったのだ。
前の2~9章で描かれたイズニアに攻め込んだベルフォメットは「攻め込んできたぞー!」と言わんばかりのド派手な登場だったが、メイシアは誰にも気づかれることなく、ひっそりと侵略してくるのが非常に彼女らしい。
そしてセッカ、ドラーク、カゲロウを次々と倒していったメイシアは、最後の一人アルザードと対決。彼にとどめを刺すという場面でイリスとローウェンが到着する。しかし、メイシアの圧倒的な力を前に再び負けそうになる3人。
そこで場面は取り込まれたセッカやドラーク、カゲロウへと移っていく。ははさまと話すセッカ、ツキカゲと戦うカゲロウ、先代にしかられるドラーク。彼らが再び因縁の相手と相対したときの会話は心にぐっとくるものがあった。
大切な誰かに手を差し伸べられる形で窮地を脱したセッカたちに対し、メイシアは深い憤りを感じてその感情を露わにする。メイシアの過去がここで明らかになるわけなのだが、今まで人間らしい様子を見せていなかった彼女が初めて見せた人間らしい感情だっただろう。
最終的にメイシアは深手を負い、ウェルサの住人を取り込んだまま時空の狭間のようなところに逃げてしまうのだが、逃げた先に待っていたのは意外な人物。ギルド争乱編でもメイシアにとどめを刺したあの彼だ。
感動的なシーンで戦いは終結するわけなのだが、「世界で1番、誰より大事にさせてくれッ!」ってセリフがあまりにもかっこよすぎた。
■圧倒的な力を持ったネクサスに4人のガンナーが立ち向かう憤怒円環編
平和な様子から始まった悲哀沈殿編とは違い、こちらはすでにネクサスが攻め込んできたシーンから始まる。しかも、巨人のナハト・ナハトやヴィンセント、駆けつけてきたアリサたちが戦い、負けた後の話。
なぜアリサたちが負けてしまったのかというと、ネクサスの力によるもの。ネクサスは自身の力で時間を戻すことができるようになっている。彼女が戦闘を行いながら時間を戻すという行為を繰り返すことで、アリサたちの攻撃をなかったことにし、圧倒するのだった。しかし、それだけ力を使ったネクサスも無傷というわけにはいかず、力を回復するため深い眠りについていた。
そして、バニーやバロン、マイザーやセリーナがネクサスを倒すための作戦会議をしているシーンに変わる。真剣なシーンではあるものの、4人でわいわいご飯を食べたり、結婚指輪の話をしたり、と思わずにっこりしてしまうようなシーンでもあった。
以前、ネクサスと戦ったことのあるバニーとバロンはネクサスを倒すために「巨人」の力を継承しようと話す。しかし、この力を継承するには2つの欠点があった。1つ目は彼らでは「巨人」の力を継承するには力不足であること。2つ目はその力を継承してしまえば、前任のナハト・ナハトとヴィンセントが死んでしまうということだ。
この2つをどうにか解決できないかと悩んでいるとき、イルガンノが訪ねてくる。しかし、彼女曰くナハト・ナハトとヴィンセントを救う方法はないとのこと。なぜそれを知っているのかというと、彼女に宿した「経済の巨人」アイシィレンドリングに聞いたからなのであった。
ここに来てあのアイシィレンドリングが登場し、一時は終わったと思っていたが、彼は死ぬことの方が嫌なのでネクサスを倒す戦いに協力するとのこと。死ぬのが嫌というところが実に彼らしい理由だと思った。
しかし、アイシィレンドリングは、ナハト・ナハトとヴィンセントが死んでしまうことを考えるよりも「巨人」の力を継承するための力不足の方が問題だと語る。それもそのはず。そもそもその力が継承できなければ、ネクサスを倒すどころか戦うことさえ難しいだろう。だが、彼はその解決策を持っているため、「あとは決断するだけだ」と4人に言うのだった。
覚悟を決め、ネクサスと遂に対峙する6人。しかし、ネクサスは既に深い眠りから目覚め6人を迎撃する準備を整えていた。そこで、バニー、バロン、マイザー、セリーナの4人組と、イルガンノ、アイシィレンドリングの2人組に分かれることに。当然、ネクサスのもとに向かうのは「巨人」の力を継承した4人組だ。
運命相克編では、アイシィレンドリングの強さに何度も絶望してきたが、今回は味方ということで非常に心強い。どんな作品にも敵だった人が味方になったときの安心感というのはあると思うのだが、アイシィレンドリングはその安心感が桁違い。それくらい要所要所の彼はかっこよかった。いや、かっこよすぎたのだ。
遂にネクサスのもとへとたどり着いた4人。ネクサスに圧倒されながらも、4人は継承した「巨人」の力を使って応戦していく。彼らは「巨人」の力を2人で分割することで、力不足であるという点を克服し、継承することに成功したのだった。バニーとバロンは「武力」の力、マイザーとセリーナは「経済」の力を継承し、それぞれの技を使いながら応戦していく。
なによりも熱かったのは色んなタッグが見れたこと。バニーとバロン、マイザーとセリーナが協力することはもちろん、バニーとマイザー、バロンとセリーナ、バロンとマイザー、バニーとセリーナという風にいつもと違ったタッグも見ることが出来たのだ。
そんな「巨人」の力コンボに圧倒されたネクサスは、再び時間を巻き戻そうとする。しかし、ここで彼女にとって予想外の事態が起きる。戻した時間が進まないのだ。
このときの「私が時間を停滞させた」という彼女のセリフがあまりにかっこよすぎる。なぜこんなことが出来たかというのは自身の目で確かめてほしいのだが、一つ言えるのは、敵だった者との共闘ほど胸を熱くする展開はないだろう。
時を戻す力を封じられたネクサスは最後、6人の攻撃を食らい、イルガンノにとどめを刺されて死んでしまう。ここのシーンはボイスありで読むと迫力のあるストーリーが楽しめるので、ぜひボイスありで進めてほしい。
ネクサスが敗れたことで現実の世界へと戻ってきたアリサは、バニーたちとともに祝勝会を行うのだった。が、ここで全く予想しなかった展開が起きることになる。これには筆者も驚きを隠せなかった。
各々が会話をしていく中、印象的だったのはイルガンノ。アイシィレンドリングを憎みながらも、レヴィールの明日を思って彼を呼び起こしたこと。並大抵の覚悟ではできないことを成し遂げた彼女がこの戦い一番の功労者なのかもしれない。
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