ついに“怪獣8号”となったカフカが大活躍! キコルの過去と偉大な父の存在も明らかに

キコルの活躍によって一命をとりとめたカフカ。『怪獣8号』第4話「フォルティチュード9.8」では、ついに怪獣8号がベールを脱いだ。

幼なじみであるミナの隣に立つために戦い続ける覚悟を決めたカフカ。一見すごくシビアな展開であるが、本作はギャグ描写を適宜入れながらテンポ良く進めていく。骨折してしまったカフカに手を差し伸べたレノが考えたのは、カフカを肩車し、足になることだった。スーツによって力が底上げされているレノにとってはお手のものだが、あまりにもその光景が滑稽で笑えてしまう。シリアスなシーンとギャグ描写の両立が本当に上手だ。

キコルに先を越されないように急ぐ2人だったが、ここでキコルが本領発揮。1体、2体、3体……と次々に怪獣を倒し、挙句の果てには最終目的である本獣を秒殺することに成功した。他の受験者が呆れてしまうほど、その力の差は圧倒的だった。ポーカーフェイスにも見える保科もキコルの実力には舌を巻いているようで、キコルが試験を突破するのは決まったも同然だった。

だが、最終審査が終わり、安心仕切っていたキコルの後ろに突如として人の形をした怪獣が現れ、胸を貫かれてしまう。それも人の形をした怪獣はこれまでの怪獣たちとは違い、人の言葉を流暢に話し始める。キコルの反応を見ると、怪獣が人の言葉を話せるとは思っていなかったことがわかるが、視聴者である私たちはイレギュラーな存在である「怪獣8号」、つまりカフカの存在を知っている。きっと怪獣8号が誕生した時点で、人間が怪獣と同化する可能性について、感の良い視聴者は想像できていただろう。

絶体絶命のピンチの中で明かされたキコルの過去。「私のいる戦場で犠牲者なんて出させない」「私は完璧でないといけないのよ!!」といった言葉を何度も発してきたキコル。その言葉の裏には防衛隊長官である父親の存在があった。東京討伐中学校には首席で合格し意気揚々と報告しに行ったキコルだったが、父親は「首席合格は当然だ」「この国の未来のため完璧であり続けろ」と言い放つ。中学生を目前に控えた子どもにとって、親の言葉や態度は生き方へも大きく関わってくる。キコルはきっと父親に褒められるために、父親が残した言葉を指針に行動してきたのだろう。言い換えれば、父親に生き方を支配されているとも言える。

「ごめんなさいパパ。私、完璧でいられなかった」

死を悟ったキコルは最後の最後まで父親の姿を思い浮かべていた。しかし、そこに現れたのは、致命傷を負っていたはずのカフカ、いや、怪獣8号だった。カフカが怪獣8号に変身して登場するバトル漫画的な描写であるだけに、アニメでどのように再現されるのかが注目されていたが、臨場感あふれるBGMや立体感ある動きのアニメーションによって、感動的なものになっていた。

これまでも子どもを助ける際には力を解放していたカフカだったが、その力がいかほどなのかは未知数だった。しかし、ここにきて怪獣8号の持つ強さがフォルティチュード9.8であることが明らかとなる。この数字を聞いた保科が「歴史に残る大怪獣」と明言しており、怪獣8号は最強クラスの怪獣ということになる。一撃で怪獣を仕留めるシーンは原作では5ページにわたってダイナミックに描いていたが、アニメでも同様に滑らかかつ迫力のある映像となっていた。

第4話のラストでは、試験場に現れた怪獣の正体が予想通り人間であることも明らかになった。それもカフカが働いている怪獣専門清掃業者の新人として。携帯電話で誰かと会話していることから、単独で行動しているのではなく、複数人で動いていることは明白だ。何やら不穏な空気が漂ってきたが、果たして彼らの目的は何なのか。
(文=川崎龍也)

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