米沢蓮快挙、愛する岩手に夢 男子ゴルフ県人初ツアーV

通算13アンダーでツアー初優勝を果たし、トロフィーを手に笑顔の米沢蓮選手=5日、名古屋GC和合

 男子プロゴルフで盛岡市出身の米沢蓮選手(24)=盛岡中央高-東北福祉大=が県勢初のツアー制覇を成し遂げた5日、県内のゴルフ関係者やファンも喜びの声を上げた。2021年12月のプロ転向後も本県を拠点に活動。「地元をこよなく愛する男」の快挙を恩師らが祝福した。

 青空の下、愛知県東郷町の名古屋GC和合で行われた中日クラウンズ最終日。水色のチャンピオンブレザーを着て、トロフィーを掲げる米沢選手の笑みが輝いた。「長く苦しんできたパットを決められた。最後のバーディーパットが入った瞬間、本当にしびれた」と達成感を口にした。

 昨季はツアーで2度2位になったが、頂点にあと一歩届かなかった。盛岡市の会社社長小泉徹さん(52)は米沢選手が17年に愛媛国体少年男子個人を制した際の本県監督。テレビ中継を見守り「持ち味のアイアンやパットのうまさが生かせるコースだった。頼もしく成長した。この優勝で重圧から解き放たれると思う。本当におめでとう」と喜んだ。

 米沢選手は現在も花巻市を拠点に活動する。母校盛岡中央高ゴルフ部顧問の高橋亨さん(58)は「開幕前に『今年は(優勝を)狙う』と口にしていたが、こんなに早いとは思わなかった」と驚く。

 プロ転向後も高校の練習に時折顔を見せ、後輩を指導。「くだらない話もするし、生徒たちはよく慕っている」と語る。中学時代も知る高橋さんは1人でキャディーバッグを持ち、新幹線で練習に出かけていた当時を懐かしみ「他人にすぐ頼らないことが強さの秘訣(ひけつ)なのかな」と思いを巡らせた。

 米沢選手は大会後、日本ゴルフツアー機構のインスタグラムで「地元をこよなく愛する男は今季賞金王を目指し、子供たちに少しでも勇気と感動を伝えられるように頑張ります」と発信した。

 本県出身のプロゴルファー金谷嶺孝さん(54)は「岩手でなかなかプロゴルファーが育たない中で、結果を残し先駆けになってくれたといううれしさがある」と目を細める。「優勝を重ね、世界に羽ばたく選手になってほしい」とエールを送る。

 米沢選手を応援する盛岡市月が丘の会社員安西祐二さん(58)は「岩手からプロで優勝する選手が出るのはすごい。米大リーグの大谷翔平選手のように世界のメジャー大会でも活躍してほしい」と願った。

© 株式会社岩手日報社