小学生向けの算数テキストが議論 「こんな教育は教育ではない」「順番以前にジェンダー問題」

「足し算の順序」を問う問題が議論に……(写真はイメージ)【写真:写真AC】

「掛け算の順序」は度々意見が分かれる定番の問題だが…

小学校の算数で、答えは合っているのに式が間違っているからと不正解とされた経験のある人は多いだろう。特に「掛け算の順序」は度々意見が分かれる定番の問題だが、中には「足し算の順序」を問う問題まで存在すると、ネット上で話題となっている。家庭教師兼塾講師として小学校から高校までの授業内容を教えているという投稿者に、投稿に込めた意図を聞いた。

「男の子の前に2個、女の子が6個運んできた絵で、6+2は勿論バツなんだけど、女の子目線だと6個運んだら2個が向こうにあったので、6+2でないと成立しない。炎上案件よな」

今月7日の投稿に添えられた小学生向けの算数テキストには、「しきに あう えは どちらですか。せんでむすびましょう」という文言と、「2+6=8」「6+2=8」という2つの式、ケーキの置かれた皿の前に座る男の子とケーキを運んでくる女の子のイラストが描かれている。2枚並んだイラストでは、置いてあるケーキと運ばれてくるケーキの個数が、それぞれ2個と6個とで入れ替わっている。問題には赤字で正答例と模範解答の説明も添えられている。

ケーキを待つ男の子目線か、運んでくる女の子目線かで、どちらの式も正解といえそうなこの問題。ネット上では「どっちだっていい。男の子のお腹に入れば同じ」「もはや算数ではなく国語の勉強だな」「低学年の子が絵をみて出題者の意図を理解する訓練としては必要」「アレもコレも一貫して『視点を変えることができないように固定する』という訓練をひたすら施しているワケですよね」「クソほどしょーもない こんな教育は教育ではない」「順番以前にジェンダー問題」とさまざまな声が寄せられている。

投稿者によると、画像は過去の教員用指導書のもので、現行の教科書に同様の問題は載っていないものの、式が場面を表すことを意識させる指導や、足し算を順序を区別させる指導は現在も引き続き行われているという。

「現在の小学校では、1年生で足し算を学ぶ際、『元の数+増えた数』を表す増加と『対等な2つの数の和』である合併の違いや、演算の順序の大切さを学びます。この画像は増加と呼ばれる方で、6個あったところに2個増えた演算と2個あったところに6個増えた演算とは区別しないといけないという問題です。

ただ、絵を見て分かる通り、誰の目線なのかを問題文やイラストから一意に決めることは不可能です。男の子目線では6+2が自然かもしれませんが、女の子目線では逆かもしれません。そもそも、足し算の順番に明確な順序を求める教育と、『どっちも8個になるね。こういうときは場面が違っても同じ足し算が使えるね』という教育のどちらが子どものためになるでしょうか、という問題提起のつもりで投稿しました」と投稿者。

投稿の反響には驚きがあったとしながらも、「一部の小学校では今も、大人の認識では信じられないような指導が行われているのは事実です。問題の可視化と教育現場での指導法の改善につながるきっかけになったのであればうれしく思います」と話している。ENCOUNT編集部/クロスメディアチーム

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