熟年離婚で思いもよらない苦労をした女性たち #8「こんなにペースを崩されるなんて…」

長い間、結婚生活のストレスに耐え、子育てが一段落したなど区切りがついたときに離婚に踏み切ったけれど、その後の人生のほうが苦しくなってしまうことも。

離婚そのものに後悔はなくても、勢いで進めて後で損をしたと知ったり、思ってもいなかった苦労が待っていたり、結婚していた頃よりさらに窮屈な生活になるのはつらいものです。

何がいけなかったのか、どうすればよかったのか、熟年離婚後に大変な思いをすることになった女性たちのリアルをご紹介します。

「夫の浮気から端を発した仮面夫婦状態は、子どもたちが家を出た後で熟年離婚する形で終わりました。離婚については元夫も以前から同意していて、親の務めを果たしたと思ったらすっきりと別れることができて、不満はありません。

ただ、会社に近いことから安易に実家に戻ることを選んでしまい、失敗したと思っています。

実家は昔からの農家で、同じく離婚した妹が子どもたちと住んで家業を手伝っており、私は敷地内にある小さな作業部屋をもらって過ごしています。

生活費はきちんと入れているし手が空いているときは家の手伝いもするのですが、問題は妹の子どもたちの用事を頼まれること。

『会社の帰りだし、行けるでしょ』と習い事の迎えを頼まれたり、『いま忙しいから代わりに』と焼き物教室で完成したものを学校まで取りに行かされたり、ペースを崩されるので大変です。

妹は家のことをがんばっているし、世話をするのは嫌では決してないけれど、気がつけば結婚していた頃より毎日が忙しく、疲れている自分を感じます。

迎えを頼まれたけれど残業があり断ったら、『自分は好きに生きられていいね』と嫌味を言われるのもつらいです。好きに生きていると言われても、離婚は私の選択だけど残業を置いてまで妹の子どもたちの送迎に行くのは筋が違うし、妹も私の現実をもう少し理解してもいいのでは、と感じます。

離婚して家に戻り家業を手伝うと決めたのも妹の選択のはずで、その責任に私まで巻き込まれても、と不満はありますね……。

できればひとり暮らしをしたいのですが、それを言い出すとまた散々嫌味を言われるのが目に見えていて、ためらっているところです。

離婚後に実家に戻るときは、もしきょうだい家族と同居になる場合は特に、どんな日常になるかは話し合っていたほうがいいと強く思います」(48歳/セールス)

こちらのケースでは、「自分だけ会社員で家業に尽くせない状態」が引け目となり、あれこれと用事を引き受けるうちに重荷となっていきました。

ですが、実家に戻ることがイコール家業にともなう負担をすべて引き受ける、とはならないわけで、会社員なら相応の責任を持って自分の仕事にあたるのもまた当然です。

考え方の違いを歩み寄りで埋められたら良いですが、それが叶わない場合は離れるのも選択肢のひとつで、今後についてストレスのない在り方を考える必要があると感じます。

(ハピママ*/ 弘田 香)

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