今季初のリーグでの連勝をまたも逃した川崎。“一歩進んでニ歩下がる”状態から抜け出せるか

[J1第12節]福岡 1-1 川崎/5月6日/ベスト電器スタジアム

リーグ戦での今季初の連勝とはまたもならなかった。

前節・11節の浦和戦で6試合ぶりの勝利を掴んでいた川崎は、12節にアウェーで福岡と対戦。75分にFW山田新がハーフウェーライン付近からひとりで持ち運ぶスーパーゴールを決めるも、85分に追い付かれ、1-1のドローで試合を終えた。

今季はシーズン初戦のACLラウンド16・山東泰山(○3-2)、富士フイルムスーパーカップ・神戸戦(○1-0)と公式戦での連勝はあったが、それ以降、2試合続けての白星はない。

「最後の最後まで選手は走ってチャンスも作ってくれましたし、逆に自分たちのミスから多くの難しい時間を作ったと思います。その両方を、しっかりと修正する部分と継続していく部分を、次につなげていきたいです」

そう福岡戦を振り返ったのは鬼木達監督だ。

後方からのボールの持ち運びや、相手のペナルティエリアの脇を狙う崩しなど、攻撃は徐々にだが形になってきたが、福岡戦では同時にパスミスやボールロストも多発。相手にカウンターを食らう場面も見られた。

【動画】川崎FW山田新の圧巻のゴール
前節の浦和戦は、鬼木監督がチームに発破をかける形で勝利を掴み、連戦が続く5月での巻き返しを狙っているが、安定した成績を残していくにはまだ時間が必要なようにも移る。

まさに浦和戦後に家長昭博が語っていたような“一歩進んで二歩下がる”という地道な積み重ねが続いていきそうだ。現に指揮官に今後への想いを訊くと、こう返って来る。

「(福岡戦は)どちらが勝ってもおかしくないゲームであったこと、それは自分たちのミスからリズムを相手に与えた部分もありますし、逆に自分たちが勝ち越せるような決定的なシーンも作っていましたので、良いところは突き詰めていく。

修正しなければいけないのは、この短い期間ですが、質のところになってくると思います。本当にパスをずらさないとか、今日はかなりの選手が(パスを)相手の足に当てていて、引っかけられていました。そこは判断のところだと思いますので、突き詰めてやっていこうという話をしています」

ここ数年同様、開幕前には登里享平、山根視来ら主力が抜けた状況で、今季は例年以上の新陳代謝が求められている。

そのなかで、大南拓磨、佐々木旭の新CBコンビ、福岡戦でスーパーゴールを決めたFW山田新ら新たな力も生まれているが、かつてのような強さや試合巧者ぶりを取り戻すには、まだまだ積み上げが必要そうだ。

怪我人も続くなかで我慢をしながら、目指す覇権奪回へどこまで勝点を稼いでいけるか。連勝はならずもリーグ戦はここ4戦負けなし(1勝3分)という見方もできる。

もっともリーグはそろそろ3分の1を消化しようとしているが、現状で15位。ここからペースを上げられるか、注目どころである。

取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)

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