大院大高 “大阪2強”撃破、履正社に続き大阪桐蔭も! 社長兼任、辻盛監督のノーサイン野球で13年ぶり春4強

 大阪桐蔭に勝利し、笑顔を見せる大院大高ナイン

 「春季高校野球大阪大会・準々決勝、大院大高2-1大阪桐蔭」(6日、大阪シティ信用金庫スタジアム)

 準々決勝が行われ、大院大高が大阪桐蔭を撃破した。3日の4回戦でも履正社に9-8で勝利。昨年3月に就任した辻盛英一監督(48)が掲げるノーサイン野球で“大阪2強”の強敵から大金星を挙げた。11年以来13年ぶりの春4強入り。大阪の同一大会で履正社と大阪桐蔭を下したのは2009年夏に甲子園に出場したPL学園以来、15年ぶりとなった。

 社長兼任の二刀流監督率いる大院大高が、西の横綱をなぎ倒した。小細工なしの真っ向勝負でつかんだ大金星。雨粒が落ちる中、ナインは喜びの雄たけびを上げた。

 履正社、大阪桐蔭の『大阪2強』を撃破。辻盛監督は「2強時代を終わらせるぞと監督になった。うれしいです」と頬を緩めた。

 1点を追う九回無死一塁。プロ注目で、この日も阪神を含む9球団が視察した今坂幸暉内野手(3年)が右前打を放った。右翼手が三塁に悪送球する間に一走が同点のホームに生還。その後、相手投手の暴投間に三走・今坂が勝ち越し&決勝のホームを踏んだ。

 プレーの連係は選手間のアイコンタクト。「うちはサインないんですよ」。決まり事はあるものの、選手の自主性を尊重して基本はノーサインの超攻撃野球を貫く。実際、履正社、大阪桐蔭戦で犠打は一つもなく、力勝負で勝ちきった。

 元阪神・江夏豊氏の母校でもある同校は、2022年に室内練習場や外野人工芝のグラウンドを新設。経営者の一面も持つ指揮官は、自費でラプソード、最速170キロで2000回転数以上に設定できる打撃マシンを購入し、「真っすぐは打ち負けない」と自負する。自腹を切ったのも打倒・大阪2強への覚悟の表れ。特注マシンでナインは打撃に磨きをかけ、大阪桐蔭、履正社の両エースを攻略した。

 「今日勝って満足している人は1人もいない」と主将の今坂。目標は日本一。大阪に起こした革命は通過点に過ぎない。

 ◆辻盛英一(つじもり・えいいち)1976年5月7日生まれの48歳。奈良県奈良市出身。奈良高、大阪市立大(現大阪公立大)では外野手を務めた。卒業後はビジネスマンとして働き、2010年から22年までは大阪公立大の監督を務め、17年秋には24年ぶりのリーグ優勝に導いた。2023年3月から大院大高の監督に就任し、株式会社ライフメトリクスの代表取締役も兼任。「営業は自分の『特別』を売りなさい」が著書として出版されている。

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