堺市/自動運転レベル2以上実験へ、24年度内にSMIプロで信号協調も

堺市は、中心部の大小路線に自動走行機能を備えたバスタイプの次世代都市交通システム(ART)を使う堺・モビリティ・イノベーション(SMI)プロジェクトで、自動運転レベル2以上の実証実験を本年度に行う。運転手が乗った車両で、システムが加減速と左右の制御を支援するのがレベル2。停留所のプラットホームにできるだけ隙間を空けずに乗降できるようにする「正着」実験や、信号などとの協調システムも試す。市と南海バスとプロジェクトと行う共同事業者を決める公募型プロポーザルを1日公告した。
「SMI都心ライン自動運転実装推進事業コンソーシアム参画事業者」を選ぶ公募型プロポーザルに参加できるのは、2019~23年度にレベル2以上で国内の公道を走行した自動運転実証実験実績か、車両制御事業の実績がある企業。参加資格確認申請が必要となる。
参加表明は17日、提案書は6月5日まで受け付け、同24日ころに優先交渉権者を決める。コンソーシアムは同下旬ころにつくる。
本年度の実験では、25人以上が乗車できる小型車両を使う。車両の運行は南海バスが担う。南海電気鉄道の南海本線堺駅と高野線堺東駅の間を、25年1、2月ころに実験走行させる。最高速度は時速30キロ程度。
車両の調達は、共同事業者が担う。リース車両も使える。事業者は車両に自動運転システムを搭載する。システム搭載車両を調達する方法も選択できる。
正着実験を行う場所は堺駅前停留所と堺市役所前停留所を想定。プラットホームは、路面から約22センチの高さを確保。市が設置する。
車両の遠隔監視も実施。車載カメラによる車両の遠隔監視や、緊急時の車内との通話も行えるようにする。
市は、30年度ころの自動運転レベル4と、大型バスと信号などのインフラ協調システムの実装を目指している。「(仮称)SMI都心ライン等導入計画骨子案」によると、SMIプロジェクトの導入で、魅力的でバリアフリーな都市空間を形成する計画。生活利便性や市中心部の回遊性を高める情報発信も車両や停車場で行う。電動のARTを使うことで脱炭素化にも役立てる方針だ。

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