日本海沿岸の磯焼け影響か、福井県嶺南西部の藻場減少 3割近く減ったエリアも 嶺北では増加

福井県坂井市三国町安島沿岸で撮影された豊かな藻場=2023年6月(県水産試験場提供)

 海の生態系保全や二酸化炭素(CO2)排出削減などで重要な役割を果たしている海域の藻場が、福井県の嶺南西部で10年前に比べ減少していることが、県水産試験場の調査で分かった。3割近く減ったエリアもあり、日本海沿岸で進む磯焼けの影響とみられる。同試験場は調査を基に、藻場造成の適地を可視化した地図を初めて作成し、国内有数の「海の森」の保全につなげる。

 同試験場は、1997年からおおむね10年ごとに県内沿岸の藻場を調査しており、今回は2022、23年に実施した。海藻が多い5、6月に、上空3500メートルからの航空写真と、坂井市三国町安島や若狭町世久見など定点10カ所で行う水深15メートルまでの潜水調査で、藻場の面積や種類を調べた。

 調査の結果、藻場の総面積は県全体で1168ヘクタールとなり13年の前回調査から約1割増えていた。種別でみると、ホンダワラ類の海藻などでつくられ、県内藻場の約9割を占める「ガラモ場」が拡大。1割程度の「アマモ場」はほぼ同数で、わずかに見られる「アオサ場」は減少していた。

 地域別では、嶺北は255ヘクタールから404ヘクタールに増加した一方、嶺南は784ヘクタールから763ヘクタールに縮小した。常神半島西部で3割余り減少したのをはじめ、大島半島西部などを含め嶺南西部一帯で特に減少傾向がみられた。同試験場によると、日本海沿岸では地球温暖化の影響などにより、海藻が枯れて藻場が消失する磯焼けが南北から進行している。中央部に位置する北陸の沿岸は比較的豊かな藻場が残っているが、嶺南西部の減少傾向は磯焼けが広がってきている表れという。

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