J1福岡、7戦無敗をどう捉えるか 長谷部監督は一定の評価、選手の胸には向上心

試合後、スタンドに手を振る福岡・紺野(中央)(撮影・中村太一)

◆明治安田J1第12節・福岡1―1川崎(6日、ベスト電器スタジアム)

思惑は崩れた。でも、負けなかった。後半30分、福岡は中盤でボールを奪われると、川崎の山田にドリブルで持ち込まれて先制点を許した。昨季は川崎に公式戦で3戦3敗、全試合で3失点以上を喫した。その難敵を押し込んでいただけに、痛すぎる失点だった。

「流れが良かった中で失点してしまったので、選手たちがどういう反応を示すかなと思った」。そう振り返った長谷部茂利監督の不安は杞憂(きゆう)に終わった。「心配することはない。選手たちで盛り返していい得点を取りました」。10分後、岩崎悠人が左サイド深くから出したクロスを相手GKがはじくと、紺野和也が反応。「ミートだけを意識して枠に飛ばそうと思って蹴りました」と冷静に左足で決めた。

これで4月3日の鹿島戦から7試合で2勝5分け。負けない強さなのか、勝ちきれないのかは判断が分かれるところだが、長谷部監督のこの試合の評価は前者だ。

福岡は、巧みにボールを回して試合を組み立てる川崎のようなチームを苦手にしている。「昨年は全く歯が立たなかった中で選手たちは成長している」と認めた。

3日のG大阪戦から先発8人を入れ替えた一戦で、チーム最多の6ゴールと好調なザヘディ以外の選手が得点したことも価値がある。紺野は「ほかの選手も点を取らないと勝てない」と言い切る。勝ち点1の前進は大きい。(向吉三郎)

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