先発としての試練実感するソフトバンク大津亮介 グラブに込めた〝恩人〟への思い

3日の西武戦の3回2死、長谷川の投ゴロを捕球に行く大津(撮影・安藤由華)

◆記者コラム・タカ番24時

立っているのもやっとに見えた。先発転向1年目のソフトバンク・大津亮介投手(25)が、3日の西武戦(ベルーナドーム)後に敵地の長い階段を上り終えた時に見せた姿だ。この日、6回1失点も、先発4戦目、通算50戦目の登板でプロ初黒星。取材に対しても大きく深呼吸した後、「反省です」と声を振り絞るように振り返っていたほどだ。

先発に転向後、最も間隔の短い中7日でのマウンド。登板前日の2日には「中7(日)、めっちゃきついです」と口にするなど、公称64キロの球界最軽量右腕にとって体力面が課題として浮き彫りになっている。登板後2日ほどは、かむこともできずに栄養ドリンクやバナナで何とか〝食事〟をしている。先発としては大きな試練だ。

ただ、ここでくじけるわけにはいかない。守るべき〝恩人〟のためにもだ。今季使用するグラブの内側に「10・19」と刺しゅうされている。昨季のクライマックスシリーズ・ファーストステージ、ロッテとの第3戦でサヨナラ打を浴びて涙したのは10月16日。3日後に長男が生まれた。

落ち込んだのもつかの間。わが子の誕生がすぐ訪れ、出産にも立ち会えたという。「それで切り替えることができた。良かった日なので(グラブに日付を)入れています」。気持ち新たに2年目を迎えたのは長男の存在が大きかった。

ここまで3勝1敗、防御率1・04と立派な滑り出しを見せている。ただ、中6日で回ってこそ一人前の先発投手。眼前の壁を家族とともに乗り越えてほしい。(鬼塚淳乃介)

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