NTT、世界で初めて多様な光ファイバーを通信断なく分岐・合流できる技術を実証。柔軟なネットワーク構築が可能に

by 松永 侑貴惠

実証で目指す柔軟な光ネットワークのイメージと今回の成果のポイント

日本電信電話株式会社(NTT)は4月24日、用途ごと・設置場所ごとに異なる光ファイバーにおいて、通信を遮断せず分岐・合流させる施工技術を世界で初めて実証したと発表した。これにより、従来ほど大規模なネットワーク増設工事が必要なくなり、柔軟なネットワークの構築、ネットワーク増設工事のコスト削減や工期短縮が期待できるという。

現在通信に使われている光ファイバーは、多様な屈折率分布(光ファイバーのコアの直径およびコアとクラッドの屈折率。コア直径により変化する)を有しており、それぞれ伝搬特性(実効屈折率:光ファイバーのコアの直径およびコアとクラッドとの屈折率差)が異なるため、光ファイバーの実効屈折率に合わせた分岐用光ファイバーを用意する必要がある。

実効屈折率を把握するには、分岐元の光ファイバーのサービスを一次的に停止する必要があるが、実際には、運用中のサービスを停止することは難しい。そのため、実効屈折率に関係なく分岐を可能にする技術の確立が課題となっていた。

従来技術の課題。多様な光ファイバーにおいて、常に分岐できる技術の確立が必要だった

今回の実証では、コア直径を変化させた構造で、多様な実効屈折率を有する分岐用光ファイバーの作製方法を開発した。この方法により作製した光ファイバーは、一般的に使用されている、国際標準規格を満たす全ての光ファイバーを分岐できる。これにより、光アクセスネットワークで一般的に使用されている国際標準規格を満たす全ての光ファイバーの分岐および合流が可能になった。

実証結果のイメージ。一般的に使用されている国際標準規格を満たす全ての光ファイバーに対応できる分岐用光ファイバーの作成方法を開発

同社では今後も、耐環境特性の評価や試作装置を用いたフィールド検証を進めていき、どこからでも接続できる光ネットワークの実現を目指すとしている。

なお、今回の成果は、5月16日~17日に開催される「つくばフォーラム2024」にて紹介される。

© 株式会社インプレス