テレワーク、週1勤務、会話はチャット… デジタル庁の働き方経験 斎藤豪主幹(青森県DX推進課)

現在は県DX推進課で働く斎藤主幹。デジタル庁のころと同じく、ノートパソコンとモニターの2画面で仕事している

 青森県は産業、暮らし、行政などあらゆる分野でのデジタルトランスフォーメーション(DX)を重要課題に掲げている。その司令塔となる県DX推進課の斎藤豪主幹(40)は、今年3月末までの1年間、実務研修のためデジタル庁で勤務した。テレワーク、週1日勤務、ペーパーレス…。他の役所と一線を画す同庁の働き方とは-。

 -デジタル庁での執務環境を教えてください。

 「壁がなく端から端まで見渡せるフロアには、課長も含め個人の机はありません。長テーブルに椅子の数だけモニターが置いてあり、好きな場所に座ってパソコンとモニターの二つの画面で仕事をします」

 -個人の机がないと資料はどう保管する?

 「紙の資料はほぼ使いません。そもそも引き出しがない。資料は画面で確認し、どうしても紙で見たいときだけ印刷します」

 「職員間のやりとりはほぼチャット。(通信アプリの)LINEのグループに職場全員が参加しているようなイメージです。そこで資料を共有していました」

 -チャットだけでコミュニケーションは深まるか。

 「対面のやりとりより、情報は共有できていたと思います。個人情報を扱う際などは別として、コミュニケーションはみんなが見える形で取りなさい、という原則がありました。だからチーム内のことは大体何でも把握できていました」

 -必ずしも職場に来る必要もない?

 「はい。職場に来るかテレワークにするか、毎日勤務管理システムを通じて選びます。東京に来ないまま週1日だけテレワークでデジタル庁の仕事をしたり、民間企業の役員を兼務したりする職員もいました。対面で話したいときは、オンライン会議を開きます。県庁で内線電話をかける感覚でオンライン会議をしてましたね」

 -作業効率や生産性への影響は。

 「新しい環境に最初は戸惑いましたが、1カ月ほどで慣れて不便さを感じなくなりました。皆さん仕事がとても早く、常にチャットが進んで、どんどん作業が生まれてきます」

 「テレワークもデジタル化も心配や懸念はたくさんあると思います。でもやってみると、心配したことは意外と起こらない気がします。働き方が柔軟な方が、スキルを持った多様な人が集まりやすくなる。働き手から選ばれるために、まずは始めてみるのが大事ではないでしょうか」

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デジタル庁 中央省庁の一つで、国の情報システムに関する基本方針策定、自治体のシステム標準化などを担う。菅義偉前首相が2020年9月に創設を表明し、1年足らずで発足させた。東京・紀尾井町の民間ビルに入居し、担当大臣は河野太郎デジタル相。23年7月時点の職員数は1013人で、行政出身者と民間出身者がほぼ半数ずつを占める。

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