TDB景気動向調査(全国)― 2024年4月調査 ― 国内景気は2カ月ぶりに悪化

業界別:10業界中6業界で悪化、原材料価格の高止まりなどが負担に  『製造』を中心に10業界中6業界が悪化、『小売』など2業界が改善となった。原材料価格の高止まりなどが幅広い業種業界に影響した。さらに、急速な円安進行ほか、不十分な価格転嫁や人材確保のための賃上げは企業収益を悪化させるといった声が目立った。

規模別:全規模が2カ月ぶりにそろって悪化、収益環境の厳しさ増す  「大企業」「中小企業」「小規模企業」が2カ月ぶりにそろって悪化。原材料など仕入単価の上昇が利益を圧迫するなか、2024年問題や人手不足、資材高などが下押し要因だった。

地域別:10地域中6地域が悪化、観光産業は堅調も地域内格差の広がり懸念  『北関東』『中国』など10地域中6地域が悪化、4地域が改善した。都道府県別では28都府県が悪化、18道県が改善した。各地の観光産業はインバウンド需要がおおむね堅調だったものの、原材料価格の高騰や地域内格差の広がりなどが下押し要因となった。

< 今後の見通し : 緩やかに持ち直し >  今後は、為替レートの急速な変動にともなう物価への影響が注目される。特に、政策金利引き上げのタイミングや日米の金利差、海外の政治・経済情勢などにも左右される。また、人手不足や2024年問題への対応もリスク要因として注視が必要であろう。  他方、賃上げなどにより個人消費の行方が景気回復のカギとなる。プラス材料では実質賃金の上昇やインバウンド需要の拡大、積極的な設備投資などがあげられる。  今後の景気は、外国為替レートに不確実性がともなうものの、緩やかな持ち直し傾向で推移するとみられる。

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