またも“神セーブ”連発。脚光集まる川崎GK上福元直人は福岡戦の失点シーンをどう振り返る?

[J1第12節]福岡 1-1 川崎/5月6日/ベスト電器スタジアム

J1の12節、アウェーで福岡と対戦した川崎は1-1のドローで勝点1を掴んだ。もっとも75分に先制しながら85分に同点に追いつかれた展開を考えれば、悔しさが残ったと言えるだろう。

特に後半はミスから相手のカウンターを受けるシーンが多く、75分にはFW山田新がハーフウェーライン付近から持ち運んで決めたスーパーゴールでリードを手にしたが、苦しい時間が続いた。

そして85分には右からのクロスをGK上福元直人が弾くも、ファーサイドにいた紺野和也にダイレクトで打たれて失点を喫したのだ。

さらに最終盤には前がかりになった裏を、福岡FWシャハブ・ザヘディに突かれ、絶体絶命のピンチ。この1対1を抑えたのが3試合連続で先発したGK上福元だった。

2節前の広島戦の試合直前に守護神チョン・ソンリョンが腰を痛めたことで巡ってきた出番。2-2のドローだった広島戦、3-1で6試合ぶりの勝利を掴んだ浦和戦はともに失点したものの、何度も見せていた彼の代名詞である“神セーブ”は、福岡戦でも健在だった。

ただ、常に自らにベクトルを向ける男は、この3試合を通じての課題も口にする。

「自分らしさみたいなものをしっかり表現していかなくてはいけない時間帯があると思っています。そういった準備の部分では、自分の良さみたいなところが、もっと結果につながってくれば良いと考えながら、今日のようにそれがまだ足りない部分もあります。

90分終わってどうだったか、本当にそこに尽きると思うので、自分の良さが出ても勝てないと、どうしても悔しい部分が自分のなかには残ります。そういった突き詰めなくてはいけない部分、どの時間帯でもゴール前で隙を作らないなど、そういったところがすべてなのかなと思います。そこにしっかりつながるような90分にするというテーマが自分には必要なのかなと感じます」

【動画】福岡×川崎のハイライト
福岡戦の失点シーンもより良い対応ができたのではないかと、自問自答する。

「(右からのクロスを)上げられる前のポジショニングはそこまで悪くなかったのかなと。ただ、軽く映像を見ましたが、ファーから相手が突っ込んできているなかで、自分がトライした部分、触る部分はクリアできたかもしれませんが、どこに弾くのか、本当に細かい部分ですが、最後につながらないといけないと感じました。

(周囲と)協力しながら守らなくてはいけない部分では、もちろんクロスを良い形で上げさせないだとか、そういった部分がチームとしてのテーマかもしれませんが、自分のところで解決できるなら、そこで完結させられるように、こだわり続けてやっていかなくてはいけないのかなと思います。

それが結果につながる部分なので、より自分に厳しくやっていかなくてはいけないとのメッセージだと感じ、細かい足の運びや、予測の部分はやはり自分に足りないところだと考えてやっていくのみだと思います」

この試合でも、もうひとつの持ち味である、足技や正確なフィードも示した上福元。チョン・ソンリョンが復帰したあとの競争も楽しみなところだ。

取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)

© 日本スポーツ企画出版社