メダカ販売店から一夜で400匹を“窃盗” 被害から2カ月 犯行をきっかけに店が講じた2重の対策

名古屋市内のメダカ販売店から、一夜で大量のメダカが消える騒動を今年3月に取材してから、約2カ月。GWは、例年、繁忙期をむかえる時期です。ある動物による犯行をきっかけに店が取った対策とは。再び、メダカ販売店を取材しました。

【カメラが捉えた犯人は…】

名古屋市中川区の住宅街にあるメダカ販売店、「NAGOYA MEDAKA BASE 」。 3月11日の午前1時半すぎ、防犯カメラに映っていたのは、北米原産の特定外来生物「アライグマ」でした。 店の商品である「品種改良メダカ」約400匹、総額30万円相当が一夜にして消えてしまったのです。 アライグマをめぐっては、名古屋市内での目撃情報が相次いでいます。 名古屋市によると、2022年は20匹、2023年は15匹ほどが捕獲されています。 アライグマは雑食性で、野菜・鳥のひなや卵・魚・昆虫など、何でも食べるということです。

【発生直後の取材では…】

3月に取材した当時、「食べられたり、ひっかかれたりしたものや、容器をひっくり返されて死んだメダカが多く、販売用のメダカの9割がダメになってしまった。」と話していた「NAGOYA MEDAKA BASE」代表の山田宗春さん。 名古屋市中川区の自宅兼店舗で10年以上メダカを飼育してきましたが、アライグマによる被害は初めてだと、途方に暮れていました。

【2カ月経って、販売店を訪ねると…】

販売店は、すっかり元の姿を取り戻していました。営業自体は約1週間で再開しましたが、繁忙期のゴールデンウィークに向けて、元の品揃えに戻すのは一筋縄ではいかなかったと言います。 「愛知県弥富市に所有する別の飼育所で“メダカの選定”をやり直し、業者への買い付けや、譲り受けたものもあり、持ち直すことができました。」(山田代表) 「メダカの選定」では、交配によって狙った色(オレンジ・白・黒など)やラメが出ているか、また、背骨やヒレなどの形がきれいに整っているかなどをチェックします。 販売するメダカは、より良い個体を選りすぐるため、非常に手間と時間がかると言います。 さらに、アライグマに荒らされた3月ごろの時期は、メダカの産卵シーズン前だったため卵を採取することができず、自身で交配したメダカを供給することが難しい状況だったと言います。

【アライグマの被害や対策は? 】

「アライグマの被害はあれ以来ありません」(山田代表) 3月の被害以降、その姿を現すことはないというアライグマ。しかし、捕獲されたという話しは聞こえてきません。 被害を繰り返さないよう、山田代表は新たに対策を講じていました。 「またいつ現れるかわからないし、鳥避けのネットを被せるだけでは簡単に外されてしまうので、ロープで固定しています。」(山田大代表) さらに、メダカを入れる容器を、浅いものから、底が深い容器に移し替え、アライグマが手を出しにくいようにするなど“敵”に備えています。

【シーズン真っ盛り 警戒続く】

「メダカは気温が上がって産卵期に入る今がシーズン。GWに間に合ってよかった」(山田代表) 今年のGWは天気の良い日が続き、客足も多かったと言います。取材中も子ども連れの家族がメダカを見て楽しむ姿がありました。 「いまアライグマの被害にあってしまうと、本当に取り返しがつかなくなる。引き続き警戒を強めたい」(山田代表) メ~テレ記者 稲垣康仁

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