伝統のともしびを後世に 研究成果の「口内傘」ライトアップ

ライトアップされた「口内傘」に見入る子どもたち=6日、北上市・口内地区交流センター

 伝統のともしびを後世に―。北上市の口内町自治協議会(上原耕太郎会長)は6日、地元の地区交流センターで「口内傘」のライトアップを初めて行った。当地の武士が内職として始めた和傘作りを学ぶ「復活研究講座」の成果として17本を並べた。参加者の高齢化から活動は本年度で一区切りとなるが、「子どもたちに伝えたい」と継承への思いをつなぐ。

 青や黄の和傘が優しい光に照らされる。講座で制作した17本と地元の宗賢寺が所有する6本。住民約60人が幻想的な光景を楽しみ、自営業昆野靖夫さん(83)は「きれいだし、懐かしい」と静かに見入った。

 伝統を後世に伝えるべく自治協議会が2013年に復活研究講座をスタート。当初は10人ほどが参加し、かつて制作に携わった住民から歴史や工程、道具の使い方を学んだ。講師を務めていた住民が亡くなり、高齢化などから参加者も減少。講座は一区切りとするが、活動記録集の作成を進めており9月に完成する予定だ。

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