米国政府、「デジタルツイン」チップ研究機関に2億8500万ドルの資金提供

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米バイデン政権は「半導体業界のデジタルツインに焦点を当てたCHIPS Manufacturing USA研究所を設立・運営する」企業を募集している。この活動を行う企業には、2億8500万ドル(約440億円)の資金が用意され、物理的半導体とデジタルツインの両方を開発・製造する企業とリソースを共有する 「地域的に多様な」ネットワークを構築することが計画されている。

ここでいう「デジタルツイン」とは、物理的な半導体チップをデジタルデータで仮想的に再現したもの。実際のチップを模倣することで新たなプロセッサーを製造する前にテストし、性能向上やデータ処理にどのような反応や影響があるかを容易に調べられるようにするためのものだ。

米商務省は、この研究ではAIなど新興の技術も活用し、米国内におけるチップ開発と製造コンセプトの設計を加速し、容量計画、生産の最適化、設備のアップグレード、リアルタイムのプロセス調整を改善することでコストを大幅に削減できるとしている。また商務長官のジーナ・レモンド氏は今回の発表において「デジタルツイン技術は全米の半導体の研究開発、製造に革新をもたらす」と述べた。

バイデン政権は国内でのチップ製造を推進することで世界のサプライチェーンへの依存を減らし、中国に対する技術的優位性を確立するための数十億ドル規模の資金を投じる計画であり、デジタルツインの研究もその一環だ。なお、米国政府は今月16日に、資金提供について関係者への説明会を予定している。これまでのところ、インテルやマイクロンのような半導体製造企業が、CHIPS法を通じて米国政府から資金援助を受けることになると目されている。

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