森山直太朗さん、群馬・藤岡西中卒業生と「虹」を合唱 企画応募し実現 コロナ乗り越えた証しの曲、動画で公開

ユーチューブチャンネル「森山直太朗のにっぽん百歌」で公開されている「虹」の合唱

 群馬県の藤岡西中の卒業生8人が歌手の森山直太朗さんと同校で合唱する動画が、動画投稿サイト「ユーチューブ」で公開されている。8人にとって「コロナ禍を乗り越えた証しの曲」として特別な思いがある「虹」(作詞作曲 森山さん、御徒町(おかちまち)凧(かいと)さん)。気持ちを込めて森山さんと歌声を合わせ、多くの視聴者を魅了している。

 動画に出演したのは2023年3月に同校を卒業した当時3年3組の有志。小学校卒業が間近に迫る中、新型コロナウイルスの感染が拡大し、中学に進学しても分散登校や黙食、行事の中止を強いられた。思い描いていた学校生活とは違っていた。3年生になり、ようやくできるようになった文化祭のクラス合唱で歌った曲が「虹」だった。

 それまでの2年間は校歌さえ大きな声で歌ったことがなかった。練習を始めた当初は、思うように声を出すことができず、ピアノ伴奏ばかりが響いた。それでも最上級生らしい合唱をしたいと、一丸となって練習を重ねた。

 当時指揮を務めた久保原裕太さん(17)は「コロナ禍があったからこそ、みんなで歌えた喜びが大きかった」と振り返る。披露した「虹」は、みんなで心を通わせて歌うことが奇跡のような時間であると、実感させてくれた思い出の曲として刻まれた。

 今年1月、クラスの副委員長だった岡崎莉生さん(16)がユーチューブチャンネル「森山直太朗のにっぽん百歌」で、森山さんと「虹」を歌いたい中高生を募集していると知り、有志を集めて応募、共演が実現した。中野桜さん(16)は「いろんな行事がなくなったけど、クラスで過ごす毎日が楽しかった。みんなともう一度歌いたかった」と参加した理由を語る。

 迎えた収録本番。五十里昇太さん(16)は森山さんの優しくも力強い歌声に圧倒されたという。合唱を繰り返し練習した教室、声をからしながら一緒に歌ってくれた担任の先生、マスク越しの友達の笑顔―。8人は緊張しながらも、そんな「青春の全て」を今回の合唱に込めた。

 コロナ禍で我慢した経験や、生徒のことを第一に考えてくれた先生たちの姿から、多くの人に支えられている「当たり前の生活」のありがたさに気付いたという。岡崎さんは「制限ばかりでかわいそうと思われたかもしれない。でも、私たちだからこそできた経験も思い出もたくさんあるんだと動画を通して伝えたい」と話した。

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