豪中銀の声明全文

[シドニー 7日 ロイター] - 本日の理事会で、キャッシュレートの目標を4.35%に据え置くことを決定した。為替決済残高に支払われる金利も4.25%で据え置く。

<インフレ率は依然として高く、予想よりも緩やかに低下>

最近の情報では、インフレ率は鈍化し続けているが、予想よりも緩やかな低下であることが示唆されている。第1・四半期の消費者物価指数(CPI)は、前年比伸び率が3.6%で、前四半期の4.1%から鈍化した。基調インフレ率は総合インフレ率を上回り、鈍化幅も小幅だった。これは、サービスのインフレ率がなお高水準で、ごく緩やかにしか減速していないことが主因だ。

金利上昇は総需要と総供給を均衡に近づけようとすることにつながっている。しかし、データは、経済が引き続き超過需要の状態にあり、国内で労働と非労働の両面で投入コストの上昇圧力が強いことを示唆している。労働市場の状況はこの1年で緩和されたが、持続的な完全雇用とインフレ目標の達成に整合的な水準よりも引き締まったままだ。賃金の伸びはピークに達したように見えるが、トレンド的な生産性の伸びを考慮すると、まだ持続可能な水準を上回っている。高インフレは依然として人々の実質所得を圧迫しており、家計消費の弱い伸びを反映して生産の伸びは低迷している。

<先行きは依然として極めて不透明>

経済見通しは依然不透明であり、最近のデータは、インフレ率を目標に戻す過程が順調に進むとは考えにくいことを示している。

中心的な予想では、キャッシュレートが市場予想の通りになるという前提に基づくと、インフレ率は2025年下半期に目標レンジの2─3%に向けて低下し、26年にレンジの中間値に戻る。最近の国内ガソリン価格の上昇と、予想を上回るサービス価格の上昇により、インフレ率は目先、上昇すると予想される。サービスインフレは年内、より緩やかな鈍化になることが見込まれる。しかし、インフレ率は25年、26年は低下すると予想される。

サービスインフレの持続は重要な不確実性だ。失業率と未活用労働者比率のより緩やかな上昇など、より力強い労働市場の状況を反映し、前回予想よりも緩やかに低下すると予想される。単位労働コストの伸びも依然として非常に高い。生産性の伸びが昨年後半に回復したため、若干緩やかになり始めている。インフレ率が低下し続けるには、この傾向を長期的に維持する必要がある。

同時に、高インフレと以前の金利上昇が実質可処分所得に影響を及ぼしたため、家計消費の伸びは特に低迷している。これに対応して、家計は裁量支出を抑制し、貯蓄を維持してきた。実質所得は現在安定しており、年内に伸びに転じると予想され、消費の伸びを下支えるとみられる。しかし、家計消費の回復が予想以上に遅くなり、生産高の伸び悩みが続き、労働市場が顕著に悪化するリスクもある。

より広範には、金融政策の効果の遅れや、需要過多の時期に経済成長が鈍化し、労働市場が逼迫する中、企業の価格決定や賃金がどのように反応するかについて不確実性がある。

また、海外の見通しについても依然として高い不透明感がある。中国と米国経済の見通しが改善し、多くの国際商品価格が持ち直した一方で、中東とウクライナの紛争に関連するものを含む地政学的不確実性は依然として高い。

<インフレ率を目標に戻すことが優先課題>

理事会の優先事項はインフレ率を合理的な時間枠内で目標に戻すことだ。これは物価の安定と完全雇用という中銀の責務に合致する。理事会はインフレ率が目標レンジに向かって持続的に推移していることを確信する必要がある。これまでのところ、中期的なインフレ期待はインフレ目標と整合的であり、この状態を維持することが重要だ。

最近のデータによると、インフレ率は緩和しているものの、その動きは従来の予想よりも緩やかで、依然として高水準にある。理事会は、インフレ率が持続的に目標レンジに戻るまでにはまだしばらく時間がかかるとみており、上振れリスクに引き続き警戒していく。インフレ率を合理的な時間枠内で目標に戻す最も確かな金利の道筋は依然として不透明であり、理事会は何も決定しておらず何も排除していない。データとリスクの評価次第だ。理事会は引き続き世界経済の動向、内需の傾向、物価と労働市場の見通しを注視していく。インフレ率を目標に戻すという決意に変わりはない。

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