知床半島 携帯電話の圏外解消に太陽光パネル設置することに日本自然保護協会が意見書「慎重に検討すべき」

北海道知床半島沖の携帯電話の圏外解消に向けた工事で太陽光パネルが設置されることに対し、日本自然保護協会は7日、国に「設置は慎重に検討すべき」という意見書を提出しました。

2022年4月、知床沖で小型観光船「KAZUI」が沈没した事故では、船長の携帯電話を通信手段としていましたが航路の大半は圏外でした。事故を受けて国や携帯電話事業者4社らは知床半島に新たに基地局を設置し、来年3月までに知床半島での圏外エリアを解消させる見込みとしています。

今回の工事で知床岬灯台に携帯基地局のアンテナを設置する予定ですが、電源設備がないためおよそ2km離れた文吉湾に太陽光パネルを設置する予定です。敷地はおよそ7000平方メートルで太陽光パネルは264枚設置されるということです。

この工事について7日、日本自然保護協会は国に対して設置は慎重に検討すべきと意見書を提出しました。意見書では「利用者の利便性よりも、不便さを伴う非日常の自然体験こそが優先されるべきであり、海域も含め携帯電話の通信強化を知床半島の核心部および周辺の海域で進めるべきではない」などとしています。

日本自然保護協会保護・教育部大野正人部長はHTBの取材に対し、「知床は国立公園の特別保護地域、世界自然遺産で厳正な自然が残されたことに意味がある。そこに太陽光パネルがひかれるというのはもっと慎重に考えるべき」、「世界自然遺産の普遍的な価値を損なうかどうかが焦点になると思う」としています。

※日本自然保護協会意見書

https://what-we-do.nacsj.or.jp/2024/05/20370/

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