【J2「連勝」】仙台、右SB高田の“レーザービームシュート”で勝利も森山監督は反省の弁 課題はチャンスクリエイト(2)

勝利にも反省の弁を述べた仙台・森山佳郎監督  撮影/中地拓也

■右SB高田のJ初ゴールで仙台が先制

J2リーグ第14節が5月6日に行なわれ、6位のベガルタ仙台は16位の鹿児島ユナイテッドFCと対戦した。前節のレノファ山口FC戦で3試合ぶりの勝利をつかんだ仙台は、シーズン2度目の連勝を目ざす。

中2日のアウェイゲームということもあり、森山佳郎監督は前節からスタメンを3人入れ替えた。ダブルボランチの一角を担う工藤蒼生が3試合ぶりに先発に名を連ね、MF名願斗哉が初先発で左MFに入る。さらにFW菅原龍之助が10試合ぶりにスタメン入りし、FW中島元彦と2トップを組む。

試合に入りは悪くなかっただろう。前節の山口戦で決勝点につながるPKを獲得した名願が、左サイドから積極的に突破を仕掛けていく。右MFオナイウ情滋も鋭いクロスを供給する。

チーム全体が攻撃の意識を持ったなかで、15分に先制点が生まれる。右SB高田椋汰が内側のレーンでパスを受け、ミドルレンジから右足を振り抜く。レーザービームのような一撃が、鮮やかにゴールネットを揺らした。高田はJ2出場56試合目で初ゴールだ。

ボール支配率はほぼ互角だったが、仙台は鹿児島に好機を作らせなかった。4バックが細かな押し上げで全体のコンパクトさを保ち、相手1トップのンドカ・チャールス、トップ下の端戸仁からスペースと時間を奪う。攻から守への切り替えでもファーストディフェンスから強度高くプレーし、カウンターのきっかけを摘み取る。前半は危なげない試合運びで、1対0のままハーフタイムを迎えた。

■GK林の好守で仙台が連勝!

追いかける鹿児島が後半からパワーを注いでくるのは、仙台にとって想定内だっただろう。前半同様にDFラインの細かな調整で、コンパクトさと同時に選手同士の距離感も保つ。相手ボールの局面では前線から規制をかけ、ロングボールを蹴らせてセカンドボールを回収する、といった作業もできていた。

森山監督は57分にMF相良竜之介とFW中山仁斗を投入し、66分にはMF長澤和輝を送り出す。攻撃的な姿勢は見せるものの、2点目を奪うことはできない。

惜しまれるのは77分の場面だ。中島のスルーパスに相良が反応し、ペナルティエリア内左でGKと1対1になったが、決め切ることができなかった。ここで追加点を奪っていれば、その後の試合展開は違ったものになっていただろう。

後半はGK林彰洋の好セーブが光った。至近距離からのシュートも弾いたりこぼしたりせず、しっかりと収める。それによって、2次攻撃、3次攻撃を許さなかったのだ。試合翌日に37歳の誕生日を迎えた守護神の活躍が、1対0の勝利を呼び込んだのだった。

試合後のフラッシュインタビューに応じた森山監督は「ほぼ鹿児島さんのゲームになってしまった」と話した。J1昇格争いに加わっていくには、内容が良くなくても勝点は逃さない、という試合が必要である。アウェイで粘り強く戦ったこの日は、まさにそういった試合と言える。勝点3を持ち帰ることができたのは、ポジティブにとらえていい。

現状の課題は攻撃だ。決定機をモノにするのも大切だが、チャンスの数を増やしたい。この日は先発した菅原も、途中出場の中山も、シュートがなかった。FWが流れのなかでシュートを打つシーンが少ないところに、現在の仙台の課題がある。

© 株式会社双葉社