「文春」スキャンダル、閉店目立つ【日乃屋カレー】――実際に食べて驚がくしたワケ

「日乃屋カレー」の看板(写真:サイゾーウーマン)

2012年に創業、翌年の13年には日本最大級のカレーの祭典である「神田カレーグランプリ」で優勝し、その後同グランプリ初となる殿堂入りを果たした「日乃屋カレー」。しかし、近年では閉店する店舗も相次いでいる様子。「日乃屋カレー」が苦境に立たされた原因を探るべく、店舗に赴きその味を確かめてきました。

目次

【日乃屋カレー】とは?
【日乃屋カレー】の特徴
【日乃屋カレー】日乃屋カレー生玉子を実食!
【日乃屋カレー】特徴が強い“ハマる味”になるか?

【日乃屋カレー】とは?

2012年に創業、翌年の13年には日本最大級のカレーの祭典である「神田カレーグランプリ」で優勝し、その後同グランプリ初となる殿堂入りを果たした「日乃屋カレー」。

公式サイトによれば、現在店舗数は98店舗(タイアップ店2店含む)、海外に4店舗を展開し、現在国内のカレーチェーンでは第3位の店舗数を誇っています。

しかし、近年では閉店する店舗も目立つ印象があり、Googleでも「日乃屋カレー」と検索すると「日乃屋カレー まずい」がサジェストされるような状況に。さらに、昨年の12月には同チェーンのフランチャイズ店舗のオーナーから独占禁止法違反を「週刊文春」(文藝春秋)に告発されるスキャンダルにも見舞われ、かつての勢いに陰りが見えているのも確かです。

そんな「日乃屋カレー」が苦境に立たされた原因を探るべく、店舗に赴きその味を確かめてきました。

【日乃屋カレー】の特徴

店舗前にあるパネルには、神田カレーグランプリの殿堂入りがアピールされていました(写真:サイゾーウーマン)

同チェーンの特徴と言えば、掲げている「始まり甘く、後より辛い、余韻残りしカレールウ」というキャッチフレーズの通り、独特の味わいを持つカレーです。

公式サイトの説明によれば、「肉は西から仕入れ、野菜は時期により全国からベストな物を厳選、卵はブランド品、スパイスに至っては作っている本人が間違えてしまうくらいの種類の調合」を行うほどのこだわりがあるとのこと。

メニュー表(写真:サイゾーウーマン)

今回は、もっともスタンダードなメニューである「日乃屋カレー生玉子」の普通盛り(790円)と、トッピングに「三種の野菜」(200円)を頼むことにしました。

【日乃屋カレー】日乃屋カレー生玉子を実食!

「日乃屋カレー生玉子」の全体像(写真:サイゾーウーマン)

店舗の前にあった食券を購入し、店員さんに渡すのがこのチェーンの商品の購入方法のようです。券を渡してからの提供時間は迅速で、この部分についてはかなりの好印象を持ちました。

届いたカレーは、ちょっと懐かしい感じの黄色が強めのカレールーがご飯全体を覆うようにかかっており、その真ん中に卵黄が鎮座しているというビジュアルで、ルウの中には、胡椒のような黒い粒も見えます。

黄色が強いルーの中には、胡椒と思わしき黒い粒がありました(写真:サイゾーウーマン)

結構スパイシーなカレーなんだろうなという印象を抱きながら、まずはカレーとご飯だけで食べてみると、口の中に広がる強烈な甘みに驚がく。

一般的なレトルトカレーなどの甘口よりもかなり甘さが強く、「始まり甘くって言っても、さすがに甘すぎるんじゃない?」とかなりの違和感を持つことになりました。

しかし、その後カレーと卵黄を絡めてみると、卵黄であまさが薄まり、かつコクが足されることで、ちょっと甘めのパンチが効いたカレーに大変身。「この組み合わせなら最後までおいしく食べられる!」と光明を見出しましたが、残念なことに卵黄がすぐになくなってしまいました。

最後までこの食べ方をするのであれば、トッピングで卵をいくつか追加することが必要となるでしょう。

卵黄と一緒に食べるとマイルドになってかなりアリ(写真:サイゾーウーマン)

独特の味のカレーに福神漬けは相性微妙

今回は卵黄を追加していなかった筆者は、卓上にある調味料や、注文した「三種の野菜」との食べ合わせを行い、独特の味のカレーと最も相性が良いものはどれなのか試してみることにしました。

まず、卓上にあった福神漬け、らっきょう、一味唐辛子をトライ。

卓上には福神漬け、らっきょう、一味唐辛子が置いてあります(写真:サイゾーウーマン)

福神漬けは、元から違和感があった甘みがさらにブーストされることになり、個人的にはナシかなというのが率直な感想でした。

カレーと福神漬け。あまさがさらに足されるため相性はかなり微妙(写真:サイゾーウーマン)

らっきょうは酸味があるため福神漬けよりはアリですが、やはり甘さが際立ってしまい、こちらも正直微妙。一味唐辛子は、唐辛子の風味や辛みが足されはしたものの、卵黄などと違って量が少ない分、甘みの問題が解決していないという印象です。

トッピングはカボチャの相性がいい

続いて、トッピングの「三種の野菜」ことナス、オクラ、カボチャのカレーとの組み合わせにチャレンジ。

トッピングで頼んだ「三種の野菜」の全体像。ナス、オクラ、カボチャが入っています(写真:サイゾーウーマン)

まずナスは恐らく素揚げされたもので、ジューシーなおいしさとコクが足されて鉄板とも言える相性になりました。オクラは、トロトロの食感が足されるのは悪くないですが、甘さが薄まりにくいのと、少し青臭さが足されてしまうことからあまり合わないかもしれません。

最後のカボチャは、食べる前に「甘みがさらに足されるし、相性良くないだろうな……」と予測しながらトライしましたが、なんとカレーの甘さにカボチャの自然な甘みが足されることで、脳が南瓜の甘みと認識しておいしく感じるというバグのような事態が発生。

絶対合わないと思っていた南瓜が、まさかの今回ベストマッチ!(写真:サイゾーウーマン)

予想外ながら、今回試した中では甘みの強いルーと最も相性がいいのがこのカボチャでした。なお、冒頭で紹介したキャッチフレーズの「後より辛い」という部分ですが、確かに食べ進めるうちにじんわりとした胡椒系の辛みが感じ取れるようになったものの、辛さが際立つ、というほどではないような感じ。辛いものが極端に苦手でなければ、十分に食べられるレベルだと思います。

【日乃屋カレー】特徴が強い“ハマる味”になるか?

筆者の好みからは外れており、トッピングをルウにある強い甘みへのフォローとして使ってしまった「日乃屋カレー」での実食ですが、オリジナリティは十分にあるカレーだと感じました。この甘さをパンチが効いていると捉えることができる人にとっては、“ハマる味”と言えるのかもしれません。

しかし、Google検索でのサジェストが示す通り、筆者と同じようにとっつきにくい味であると認識する人が一定数いることも確かでしょう。また、筆者の経験上、特徴の強い味のものは、一旦ハマったあとに“沼化”して定期的に食べたくなるものと、急速に飽きて離れてしまうものに分けられます。

「日乃屋カレー」が店舗数を大きく伸ばしたのは、もちろんその味に魅了された人が沢山いたのが大きな要因でしょうが、現在閉店している店舗も少なからず見られるのは、その味に飽きてしまった人も少なくないということなのかな、と考えてしまいました。

いずれにせよ、現在も“ハマり続ける”人が多くいるであろう同チェーンには、「東京チカラメシ」や「いきなりステーキ」などのように凋落の憂き目にあうことなく、オリジナリティあふれる味わいを提供し続けてほしいものです。

ちなみに、メニューを見ている中で、味の想像が難しかったのが「チキン南蛮タルタルカレー」。再訪することがあったら、これを試してみようと思います。

チキン南蛮タルタルカレー(写真:サイゾーウーマン)

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