「景色がまったく違った」桐蔭横浜大FW渡邊啓吾が湘南でプロデビュー! Jのピッチの感触は「緊張したし、すぐにバテてしまった」

「“もっとできたな”という悔しさがあります」

人生で1度きりのプロ初出場は、納得のいくものではなかったかもしれない。ただ、大学4年時にJのピッチを踏んだ経験は、成長の糧となるはずだ。

5月6日、湘南ベルマーレはJ1第12節でサガン鳥栖と対戦。2-1で勝利した。

今節のサプライズは、5月2日に2025年シーズンの内定及び今季の特別指定選手承認が発表されたばかりだった桐蔭横浜大FW渡邊啓吾のメンバー入りだろう。

185センチの長身が売りの21歳は、2-1で迎えた82分から途中出場を果たすと、5-4-1のワントップとしてプレスに奔走し、1点のリードを守り切っての勝利に貢献。自身初となるプロの舞台でのゲームを、白星で飾った。

渡邊は、J初出場となった鳥栖戦をこう振り返る。

「平日の練習も湘南で参加していて、気持ちの準備はできていたつもりでしたが、いざ出場するとなると、緊張したし、すぐにバテてしまった。ただ、チームは勝てたので、今日の勝利をきっかけに、僕もチームとともに流れに乗れれば」

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渡邊にとって、湘南の本拠地であるレモンガススタジアム平塚でのプレーは初めてではない。桐蔭横浜大の一員として戦う関東大学リーグでも、同会場が使用されることがあるため、今年だけで数えても、平塚でのプレーは3度目だ。

ただ、同じスタジアムでも、大学とプロではまったく違ったという。

「やっぱり景色がまったく違った。1万人を超える観客が作る雰囲気や、ピッチ上の熱など、プロ特有の素晴らしい雰囲気を味わえました」

鳥栖戦では、湘南の主軸FWルキアンが欠場。「(離脱の理由は)そこまで重いものではない」(山口智監督)とはいえ、5月11日の次節・FC町田ゼルビア戦で復帰できるかは不透明なため、同ポジションの渡邊にとっては絶好のアピールチャンスだ。

自身の持ち味を「持久力と、積極的にゴール前へ顔を出すプレー」と語る大学生ストライカーは、プロの舞台で結果を残し、ポジションを掴めるか。「デビュー戦では持ち味を出せなかった分、次節以降に魅せたい」と意気込む背番号34に注目したい。

取材・文●岩澤凪冴(サッカーダイジェスト編集部)

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