GTWCヨーロッパのスプリントカップが開幕。WRT BMWとウインワードのメルセデスAMGが勝利を分け合う

 5月4~5日、イギリスのブランズハッチで、ファナテック・GTワールドチャレンジ・ヨーロッパ第2戦(スプリント・カップ第1戦)が行われ、晴天に恵まれた日曜のレース1ではチームWRTの32号車BMW M4 GT3(ドリス・ファントール/シャルル・ウィーツ)が優勝。同日開催のレース2は、ウインワード・レーシング・チーム・マンフィルターの48号車メルセデスAMG GT3エボ(マーロ・エンゲル/ルーカス・アウアー)がポール・トゥ・ウインを達成した。

 プロクラスに12台、ゴールドカーが5台、シルバーカップは8台の計25台がグリッドに並んだスプリント・カップの今季開幕戦。その舞台はかつてF1イギリスGPが開催された全長3.703kmのブランズハッチだ。

 年間5戦が開催されるスプリント・カップでは、60分の決勝レースが週末に2回行われる。土曜と日曜に1レースずつ行うラウンドもあれば、日曜日にふたつのレースを行う場合もあり、今回は後者のフォーマットだ。レースはスタートから25分から35分までの間にピットウインドウが設けられており、各車はこの間にタイヤ交換とドライバー交代を行う必要がある。

レース1に向けた予選1ではエミル・フレイ・レーシングの14号車フェラーリ296 GT3がポールポジションを獲得。フロントロウ2番手にはスプリント・カップデビュー戦となったアストンマーティン・バンテージAMR GT3エボ(コムトゥユー・レーシング)が続いた。 2024年GTワールドチャレンジ・ヨーロッパ第3戦ブランズハッチ

 そんなスプリント・カップ・シリーズの今季開幕戦ではエミル・フレイ・レーシングの14号車フェラーリ296 GT3がポールポジションを奪取。迎えたレース1でもスタートから隊列を牽引した。その後方では3番手スタートとなっていた32号車BMWが、今季アウディからアストンマーティンへと車両をスイッチしたコムトゥユー・レーシングの7号車バンテージAMR GT3エボを7周目にかわして2番手に浮上し、トップを行くフェラーリに近づいていく。

 ピットウインドウが開くと、トップを争う2台が真っ先にピットへ。ここでライバルを上回る迅速な作業を見せたチームWRTのBMWが順位を入れ替えることに成功し、後半戦の主導権を握った。

 一方、3番手に順位を落としていた7号車アストンマーティンは、48号車メルセデスAMG GT3エボに追われるなかでコースオフ。すぐに復帰し順位をキープしたが、コースサイドに設置されていた発泡スチロールのバナーに激突した際に破片がフロントグリルに挟まってしまう。冷却に異常をきたしたアストンマーティンはレース続行が不可能となり、直後にクルマを止めた。

 その後レースは2度のセーフティカーカーランを挟み、残り1周で再開に。ファントールからステアリングを引き継いだ首位ウィーツは後続車に対して築いた貯金を失ったが、最後までポジションを守り抜きトップフィニッシュ。14号車フェラーリが0.633秒差の2位、48号車メルセデスが3位に入った。

 4番手と5番手には99号車アウディR8 LMS GT3エボII(トレゾア・アテンプト・レーシング)と69号車フェラーリ296 GT3(エミル・フレイ・レーシング)がつけていたが、前者はピットレーンの速度違反、後者はオープニングラップでの接触に非があるとしてタイムペナルティを課された結果、159号車マクラーレン720S GT3エボ(ガレージ59)が4位に。

 5位にはシルバーカップを制した10号車メルセデスAMG GT3エボ(ブーツェンVDS)が入り、ゴールドカップのウイナーとなった6号車アウディR8 LMS GT3エボII(リキモリ・チーム・エングストラー・バイ・ワングループが総合6位となった。

 現地時間11時から行われた第1戦に引き続き、ドライコンディションで実施されたレース2は、ポールシッターの48号車メルセデスが“ライト・トゥ・フラッグ”の完勝でシーズン最初の勝利をマークした。開幕戦から連続表彰台獲得となったエンゲルとアウアーは、スプリント・カップのランキングトップに浮上している。

 優勝マシンから2.5秒遅れて2位でチェッカーを受けたのは、レース1でペナルティを受け11位降格となった69号車フェラーリだ。表彰台最後のスペースは、僅差の3番手争いを制した9号車メルセデスAMG GT3エボ(ブーツェンVDS)が獲得した。

 ゴールドカップは25号車アウディR8 LMS GT3エボII(サンテロック・レーシング)が今シーズン初優勝をマークし、シルバーカップは71号車フェラーリ296 GT3(AFコルセ)が制している。

 開幕ラウンドとなったブランズハッチに2日間で1万8000人の観客を集めたスプント・カップの次戦第2戦、GTWCヨーロッパ第3戦は5月17~18日にイタリアのミサノ・ワールド・サーキット・マルコ・シモンチェリで開催される。

レース1のターニングポイントとなったピット作業。チームWRTのメカニックの迅速な作業が逆転を生んだ。 2024年GTワールドチャレンジ・ヨーロッパ第3戦ブランズハッチ
SC明けの1周スプリントで後続をコンマ6秒引き離してトップチェッカーを受けた32号車BMW M4 GT3(チームWRT) 2024年GTワールドチャレンジ・ヨーロッパ第3戦ブランズハッチ
レース2で優勝した48号車メルセデスAMG GT3エボ(ウインワード・レーシング・チーム・マンフィルター) 2024年GTワールドチャレンジ・ヨーロッパ第3戦ブランズハッチ
レース2を制した48号車メルセデスAMG GT3エボのマーロ・エンゲルとルーカス・アウアー(中央) 2024年GTワールドチャレンジ・ヨーロッパ第3戦ブランズハッチ

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