ブロッコリーは高たんぱく質なの? 効率の良い食べ方を栄養士が解説

栄養豊富なブロッコリー(写真はイメージ)【写真:写真AC】

健康意識の高まりなどから人気のブロッコリー。2026年度から「指定野菜」にもなります。アスリートや筋トレ中の人なども積極的に食べる野菜ですが、意外に誤解されていることも多いようです。ブロッコリーの栄養や効率良く栄養摂取する食べ方などについて、栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。

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ブロッコリーはたんぱく質を多く含む食材?

ブロッコリーは、筋トレをしている人にも好まれる野菜であることから「たんぱく質を多く含む食材」といったイメージがあります。そのため「ブロッコリーをたくさん食べていれば、たんぱく質を充足できる」と誤解されやすいのですが、ブロッコリーだけではたんぱく質は十分に摂取できません。

ブロッコリーは“野菜のなかで”たんぱく質を多く含む食材です。どのくらいのたんぱく質(括弧内はエネルギー)が含まれているのか、日本食品標準成分表2020年版(八訂)より、筋トレ食で定番の鶏のむね肉とともに、ほかの野菜(100グラムあたり生)と比べてみましょう。

ブロッコリー 5.4グラム(37キロカロリー)
キャベツ 1.3グラム(21キロカロリー)
トマト 0.7グラム(20キロカロリー)
アスパラガス 2.6グラム(21キロカロリー)
鶏肉のむね肉(皮なし) 23.3グラム(105キロカロリー)

大きさにもよりますが、ブロッコリー1房を15グラムとすると、0.8グラムのたんぱく質を含むことになります。したがって、たんぱく質を積極的に摂りたい場合、ブロッコリーだけといった食べ方では不十分です。

ブロッコリーを使って低脂肪で高たんぱく質の食事を取りたい場合は、鶏肉のほか、豚肉や牛肉(ヒレ肉)、タラやスズキ、カレイなどの白身魚、エビやツナ、卵、大豆製品など、たんぱく質が豊富な食材と合わせて食べると良いでしょう。ブロッコリーはほかの野菜に比べて、たんぱく質の代謝を促すビタミンB6も豊富なため、効率良く摂取できます。

ブロッコリーの栄養を損失しない工夫を

ブロッコリーは、さまざまな栄養成分を含む野菜です。がん予防が期待できると注目されているスルフォラファン、止血のビタミンと呼ばれるビタミンK、貧血予防に必要な鉄、赤血球の生産に欠かせない葉酸、余分な塩分や水分を排出するカリウム、腸内環境を整える食物繊維なども豊富です。βカロテンやビタミンCなど、健康維持に必要な栄養も含まれています。

これらのブロッコリーの栄養を効率良く摂るために「ブロッコリーは生でも食べられるのか?」という疑問を持つ人もいるかもしれません。結論からいうと、生でも食べられます。ただし、残留農薬や虫などの心配から、しっかりと水洗いする必要があります。また、生のままのブロッコリーは硬くて食べにくく、消化も悪いです。

食べやすさでいえば、ブロッコリーはゆでることでやわらかくなり、アクも抜け、甘みが出てきます。一方で、カリウムや葉酸(ビタミンB群)、ビタミンCのような水溶性のビタミンは損失してしまいます。ゆでる場合は、スープなど汁ごと飲めるような料理にすると良いでしょう。

ブロッコリーの栄養を逃さない観点でいえば、電子レンジで加熱する方法が有効です。大きさをそろえて切ったブロッコリーを耐熱容器に並べ、ラップをふんわりとかけて電子レンジへ入れ、やわらかくなるまで加熱します。電子レンジ加熱は水溶性ビタミンが失われにくく、ブロッコリーの栄養素を効率良く摂取することができるからです。

また、ブロッコリーに含まれるβカロテンとビタミンKは脂溶性なので、油と一緒に食べることで、それぞれの吸収率が上がります。ゆでずに電子レンジで加熱したブロッコリーにたんぱく質を含む食材を合わせて、好みのドレッシングを適量かけて食べるのが、おいしく効率の良い食べ方といえるでしょう。

和漢 歩実(わかん・ゆみ)
栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。

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