川勝知事の強い発信力が生んだ共感と批判 富士山世界遺産登録や校長氏名公表…"発言"に揺れた県政にまもなく幕【検証・川勝知事の15年(上)】

静岡県知事選への熱が高まる一方、4期15年にわたった川勝県政はまもなく幕を下ろします。SBSでは5月7日と8日、この激動の15年を検証します。川勝平太知事は強い発信力を発揮し、共感とともに批判も生んできました。

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(2009年7月初当選)
「バンザーイ!!」

<川勝平太知事>
「きっとみなさま方のお役に立てるものと確信しています。どうぞ、ご期待くださいませ」

2009年、接戦を制して初当選した川勝知事。
就任早々、直面したのは静岡空港の「立ち木問題」です。川勝知事は直接、地権者と面会するなど、解決に向けて存在感を示しました。

<川勝平太知事>(2013年9月)
「絶望的な気持ちになりました。大変強烈な危機感に襲われた」

また、「教育政策」でも強い存在感を示します。全国学力テストで小学6年の国語が最下位になると校長の氏名を公表するという強硬手段に踏み切りました。一方、こんな場面も。

<川勝平太知事>(2013年6月)
「私、聞いていて涙が出ました」

2013年6月、念願だった富士山の世界文化遺産への登録が決定し、県民とともに喜びを分かち合いました。

さらに、翌年には南アルプスがユネスコエコパークに登録決定。

<川勝平太知事>
「うれしいです。エコパークの豊かな生態系を守ることが第一。リニア新幹線工事がありますが、エコパークが優先です」

川勝知事は発信力を発揮し、県の魅力を国内外に広め、県民から共感と支持を集めました。
しかし、その言葉の力があつれきを生むこともありました。

<川勝平太知事>(2019年12月)
「やくざもいるじゃないですか。ごろつきもいるじゃないですか」

県の事業の見直しを求める県議会の自民会派の議員を念頭に発言し、その後、謝罪し撤回へ。それでも、不適切な発言はエスカレートしていきます。

<川勝平太知事>(2021年10月)
「あちら(御殿場市)にはコシヒカリしかない。だから飯だけ食って、それで農業だと思っている」

2021年の参院補選の応援演説で飛び出したのがいわゆる「コシヒカリ発言」です。

<自民改革会議 野崎正蔵代表(当時)>(2021年11月)
「静岡県知事、川勝平太君に辞職を勧告します!」

差別的な発言に批判が巻き起こり、県議会は県政史上初の知事への辞職勧告決議案を可決しました。最終的に、辞職に至ったのも自らの差別的な発言が原因でした。歯に衣着せぬ言い回しで共感と批判を生み出した川勝県政はまもなく幕を下ろします。

<川勝平太知事>(2024年4月)
「本当にありがとうございました、という以外ないですね。なんて言いますか、みんな人がいいですね、静岡県は素晴らしいところです。その方たちに僕が迷惑をかけたのはつらいこと、私だけが原因、発言など含めて、なるべく早く私が去るのが県民のためになる」

8日はリニア問題について検証します。

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